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インド、政府調達で中国企業の応札制限 対立鮮明に

(更新)
<訂正>7月29日20時に掲載した「インド、政府調達で中国企業の応札制限」の記事中、インドの中国からの輸入額が2019年度で「約4740億㌦(約49兆円)」とあったのは「約653億㌦(約7兆円)」の誤りでした。

インドが政府調達で中国企業の参入を制限する。政府や公営企業が物やサービスを民間から購入する入札に参加する場合、所轄官庁へ事前登録した上で、外務省と内務省による許可を義務づける。インド北部の国境係争地での軍事衝突を機に中国企業の排除を強め、対立姿勢を鮮明にする。

23日に改正した規制では、制限対象を「陸の国境を接する国の企業」と定めている。インドと陸路で接するのは中国、ネパール、ブータン、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマーの6カ国。ただしインドから融資保証などを受けるバングラデシュなどは除外され、対象となるのは中国とパキスタンだけだ。現実的に政府調達で関係するのは中国に絞られる。

インド政府は改正理由を「安全保障を強化するため」と説明する。規制は州政府や公営企業・銀行、政府から財政拠出を受けるPPP(官民パートナーシップ)事業などに幅広く適用する。事実上、政府関連の調達から中国企業を完全に締め出そうとする意図がうかがえる。

インドが中国企業の締め出しにかかるのは、国境係争地での衝突が背景にある。両国は5月から実効支配線で小競り合いを繰り返し、6月中旬には両軍で死傷者が出た。インド軍は20人が死亡し、インド側は経済面で相次ぎ制裁措置を打ち出している。

現地メディアによると東部ビハール州で中国企業が入札に参加したガンジス川に架ける巨大橋梁事業が見直された。西部マハラシュトラ州では中国民営自動車大手の長城汽車の工場など中国関連の3件の投資が凍結された。中国からの貨物の審査が厳格化され、携帯電話などの製品が港で滞留する事態も起きた。

今後は太陽電池の輸入関税引き上げに踏み切る可能性がある。インドは電力不足と環境配慮から太陽光発電の導入を進めているが、太陽電池の約8割を中国からの輸入に頼る。モディ首相は7月上旬に「太陽電池の輸入依存を減らす」と表明しており、近いうちに中国製を狙い撃ちにした何らかの輸入制限を実施するとみられる。

6月末には動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や「微信(ウィーチャット)」など主に中国系の企業が手がける59のアプリを禁止した。新規ダウンロードのほか、インストール済みのサービスも使用不可となった。印PTI通信は27日、「政府が47アプリを追加で禁止した」と報じた。

直接の衝突前からインドは中国への警戒を強めていた。4月には海外直接投資の規制を変更。「国境を接する国の企業」がインド企業に投資する場合、従来は不要だった政府認可が要るとした。周辺国によるインド企業への投資では中国企業が突出しており、実質的に中国を狙い撃ちにしたものだ。

インドは経済的に中国への依存が大きい。中国からの輸入額は2019年度で約653億ドル(約7兆円)とインドの輸入額全体の約14%を占め、国別で最大だ。中国からインドへの外国直接投資(FDI)は20年度までの5年間に約43億ドルと、その前の5年間(約19億ドル)の2.3倍に増えた。自動車メーカーによるインド参入のほか、モバイル決済大手「Pay(ペイ)tm」などインドの有力スタートアップへの投資が目立つ。

インドのコンサルティング会社TRAリサーチのチャンドラモウリ最高経営責任者(CEO)はアプリの禁止などを含む対中措置について「インドにとって、もろ刃の剣で長く続くかは疑問だ」と指摘する。

(早川麗)

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