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コロナで大人気に 家計簿アプリの長所と注意点は?

FPが選び方を助言

(更新)
マネーフォワードMEと家計簿Zaimの画面

パソコンやスマホなどにアプリケーションソフトをダウンロードして、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどを登録すれば、家計簿を自動的に作成できる。こうした家計簿アプリの利用者が急増している。アプリを開発・提供している会社が新たな機能を追加して、利便性も高まっている。ユーザーの多いアプリのサービス内容やアプリを選ぶ際の注意点などを探ってみた。

アプリで家計簿が自動的に作成される仕組みは、次のようなものだ。まずアプリを提供している会社がユーザーの代わりに、入出金の履歴や残高といったデータを登録された金融機関から取得する。そしてそれらのデータを基に、アプリ上で食費や光熱費といった項目ごとの支出などを分類し、家計簿を作成する。

アプリのユーザーは入出金や支払いのデータを自分で集めて帳簿に記入する手間が解消される。中にはレシートを読み取ったり、利用店舗ごとに支出を分類したりする機能を備えたアプリもある。しかも、機能がシンプルな基本タイプのアプリであれば無料で利用できる。この点も大きなメリットだ。

10種類以上のアプリがあるが、その中で利用者や登録できる金融サービスの種類の多さで群を抜いているのが、ソフトウエアの開発・販売を手掛けるマネーフォワードの「マネーフォワードME」と、情報サイトを運営するくふうカンパニーの子会社Zaimが展開する「家計簿Zaim」の2つ。マネーフォワードMEは、今年7月に利用者数が1050万人を突破した。家計簿Zaimのダウンロード数は、850万回を超えているという。

マネーフォワードによると、今年3~5月の3カ月間に新たに利用を始めたユーザーの数は70万人。前年同期の1.4倍に増えたという。コロナショックの最中に利用者が急増した形だ。「明確には分からないが、年末年始に展開した広告の効果に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で家計に対する不安が高まったりして、お金と向き合う機会が増えたことが要因として考えられる」。利用者が急増している理由について、マネーフォワードでサービス開発を統括する西方夏子さん(ホームカンパニーPFM事業本部プロダクトマネジメント部長)はこう語る。

大手2社の家計簿アプリにはスタンスの違いも

マネーフォワードとZaimの2社を筆頭に、家計簿アプリを提供している各社はユーザー獲得のため、新たな機能の提供にしのぎを削っている。例えばマネーフォワードは今年7月、生命保険会社と連携。利用者が加入している個人年金保険の受け取り開始時期や年金の受給額をアプリで管理できるようにした。

一方、Zaimは今年6月、「Zaim 定額サービスチェッカー」という新たな機能の提供を始めた。これは、動画配信サービスの「アマゾンプライム・ビデオ」や「ネットフリックス」など、毎月定額利用料が発生する家庭向けサブスクリプション型サービスの利用料を一元管理できるようにするもの。過去の支払い実績だけでなく、実績のデータを基に、利用しているサブスクサービスの契約プランや月々の支払金額を予測し、今後発生する可能性のある支払いを一覧できるようにした。

2社のアプリのサービス内容を比較すると、最大の違いはデータを収集できる金融サービスの数にある。マネーフォワードMEの2620に対して、家計簿Zaimは約1500と大きく差が開いている。

この差には、家計簿アプリに対する両社のスタンスの違いが影響しているようだ。マネーフォワードは、MEを資産管理のツールと位置付け、預金や株、保険など複数の異なる金融資産を一元管理できるようにすることに注力している。「家計管理と資産管理は切り離すことができない」と前出の西方さんは話す。

一方、Zaimは家計の管理を容易にすることに集中している。同社執行役員の綿島琴美さんは「節約ツールや資産運用ツールというポジションではなく、より多くの家計を改善するためのサービスを目指している」と語る。

まずはユーザーの多いアプリを試す

こうした特色を踏まえて、家計簿アプリをどう選んだらいいのか。家計簿アプリに詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢さんは、初めて利用する人はまず利用者数の多いアプリを選ぶことを勧める。

「どのアプリも基本的なタイプは無料なので、利用者の多いアプリをまずダウンロードしてみて、使い勝手が自分好みかどうかを試してみるといい。利用者が多ければ、自分の周りに同じアプリを使っている人がいることも多く、使い勝手を聞くこともできる。提供している会社がアプリのサービスを中止する心配も少ない」(風呂内さん)

様々なアプリを試して、その使用感などをブログで記事にしてきたブロガーのぶちくまさん(男性、ハンドルネーム)も、「利用していたアプリの一つがなかなかアップデートされないと思っていたら、いつの間にかサービスの提供が終わっていた。利用者が多くて、提供する会社の経営も安定しているアプリを選ぶことが大事だと痛感した」と話す。

「Zaimは、ユーザーインターフェースが分かりやすい設計で、使いやすい。レシートの撮影機能も優れている。とりあえずは家計のお金の流れを管理したいという人に向いている。これに対してマネーフォワードは連携している金融サービスが多く、資産管理に本格的に使える」と評価する。

情報漏洩リスクには目配りを

広く利用されるようになった家計簿アプリだが、銀行口座やクレジットカードといったお金まわりの情報を扱うだけに、個人情報の漏洩や不正送金といったリスクを不安視する声も少なくない。実際のところ、どうなのだろうか。

前出の風呂内さんは「アプリを提供している会社は、金融機関から口座の残高や利用明細を確認するためのデータだけを収集し、送金に関わるデータは取得していない。データも暗号化した状態で受け取ることで漏洩を防いでいる。百パーセント安全とは言い切れないが、会社から情報が漏れる可能性はかなり低い」と指摘する。

もっとも、アプリを提供している会社が対策に万全を期していても、利用者がアプリをダウンロードしているスマホやタブレットなどの端末を紛失して、そこから情報を盗み取られる恐れは残る。

風呂内さんは「同じIDやパスワードを使い回ししないといった基本的な対策を取ることが欠かせない。また安全を期すなら、残高や利用履歴を定期的にチェックしたい口座やカードだけに絞り込んだりして、家計簿アプリのデータ収集対象を最低限に抑えるのも一案だ」とアドバイスする。

(佐藤由紀子)

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