住宅機構の金利変動準備金「過大」 会計検査院が指摘

2020/7/29 17:00 (2020/7/30 6:10更新)
保存
共有
印刷
その他

政府の出資法人で「フラット35」を扱う住宅金融支援機構の住宅ローン関連業務を巡り、会計検査院が、金利変動による損失の補填に使われる国の基金の計上額344億円が過大だと指摘したことが29日までに分かった。長引く超低金利で損失が生じる恐れが低下しているため。検査院は機構に金額の再検討を求めている。

機構は2007年に設立された。フラット35など長期固定金利の住宅ローン債権を金融機関から買い取り、証券化して投資家に販売する仕組みをとっている。これにより、金融機関は顧客に安定した長期金利で商品を提供することができる。

証券化を終えるまでに急激な金利変動があれば機構の損失となる恐れがあり、機構は金利変動リスクを回避するために金融取引を活用していた。国の「金利変動準備基金」はそれでもカバーしきれない想定外の損失が生じた場合に備え05年に設けられた。機構は同基金を元手に国債などを運用し、その運用益を損失の補填に充ててきた。

検査院は長引く低金利による影響を調べるため、日銀が異次元緩和を導入した13年度から、19年度までの機構の状況を調査した。

基金にはその間、運用資金として344億円が維持されていたが、金利が低い水準で安定しているため想定外の損失は減少傾向が続いている。13年度に約1億2千万円発生した損失は、19年度には約1670万円まで減っていた。

機構はこうした金利状況から「損失が生じる可能性は低い」として、14年度から金利変動リスク回避のための金融取引を休止。基金で対応すべき損失額は減少していたものの基金を減額することはなく、所管する国土交通省も基金が適切に使われているかどうかについて十分に検証した形跡がなかったという。

検査院は機構に対し、必要な基金の額を改めて算定し、余剰分は国庫に納付することなどを検討するよう求めた。国交省にも、基金のあり方を再検討する必要性を指摘した。

機構は取材に対し、必要額の算定はリスク発生時などを想定し定期的に行っていたとして「余剰はなかった」と説明。その上で「検査院の所見を踏まえて国交省とも協議し、対応を検討したい」とコメントした。

国交省は「基金の金額は改めて検討したい」としている。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]