元区長、出所者支援に奔走 大阪2幼児放置死から10年

2020/7/29 10:18
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 2幼児放置死の事件現場となったマンション前で、手を合わせる親子(2010年8月、大阪市西区)=共同

2幼児放置死の事件現場となったマンション前で、手を合わせる親子(2010年8月、大阪市西区)=共同

大阪市西区のマンションで2010年、3歳と1歳の姉弟が放置され餓死しているのが見つかった事件から30日で10年がたつ。当時、西区の区長だった半野田孝郎さん(69)=兵庫県明石市=は「二度と繰り返さない」との思いから、退職後、刑務所出所者を支援する活動をしている。

大阪・ミナミの繁華街近くで起きた衝撃的な事件。周囲の無関心という落とし穴に唇をかんだ。事件後、マンションの若い住人らと語らいの場を持ち、毎月、膝を突き合わせて話し合った。どうすれば地域の一員としての意識を持ってもらえるか模索した。

12年に退職後、法務省の地方更生保護委員として千人を超える受刑者や非行少年と面接した。親に虐待されたり、貧困の中で育ったり。ほぼ例外なく厳しい過去を持っていた。複雑な家庭環境で育った2児の母親(33)の姿が重なった。

4年前、出所者の社会復帰を支援する更生保護施設「愛正会」(大阪市淀川区)の職員になった。住居や仕事の手配など生活基盤を整える役回り。研修会では真っ先に質問に立ち、現場で突き当たる矛盾や疑問をぶつけてきた。

大阪市職員時代に社会福祉士の資格を取った半野田さん。三十数年、医療・保健、福祉畑を渡り歩いた経験や人脈が生き「支援のネットワークができつつある」と自信を深める。元受刑者らが「ここ(愛正会)に来ていなかったら、また刑務所に戻っていた」と言ってくれることが何よりの糧だ。

今月上旬には、10年前と似たような事件が再び報じられた。東京都大田区で3歳の娘を自宅に1週間ほど放置し衰弱死させたとして、母親が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された。

2幼児放置死事件の母親は13年に懲役30年の刑が確定。関係者によると、女子刑務所で規則正しく刑務作業に服している。ひとときも2人のことを忘れず、就寝前に語り掛ける日々という。

半野田さんは「彼女の生き直しには息の長い伴走支援が必要。出所まで自分が活動できているか分からないが、体力が続く限りやりたい」と話した。〔共同〕

 ▼大阪の2幼児放置死事件 2010年7月30日、大阪市西区のワンルームマンションで3歳女児と1歳男児の遺体が見つかり、大阪府警は当時23歳の風俗店従業員の母親を逮捕。大阪地裁は12年3月、殺人罪で懲役30年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。母親が控訴、上告したが、13年に刑が確定した。一審、二審判決によると、母親は10年6月上旬、ごみや汚物が散乱した室内に2児を閉じ込めて外出し、同月下旬ごろ餓死させた。
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