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救命措置は人工呼吸避けて 厚労省、コロナで指針改定

(更新)

新型コロナウイルスの影響が続く中、人が倒れた場所に居合わせたらどのような救命措置を取るべきか。厚生労働省は感染を予防するため、流行下では成人に人工呼吸を行わないなどとする市民向けの指針を示した。各地の消防局は講習内容を見直し、周知に力を入れている。

「ハンカチを持っている場合は口元にかけましょう」。7月中旬、さいたま市の防災センターで救命講習が開かれた。参加者は市民ら14人。市消防局の担当者の指導を受けながら、訓練用の人形の口や鼻にハンカチをかぶせて心臓マッサージをしたり、顔を近づけずに呼吸と反応を確認したりする手順を確認した。

埼玉県川口市の平沢和浩さん(33)は幼児体育のインストラクターをしており、講習には毎年参加している。「緊急時に落ち着いて処置できるように、普段からハンカチを持つなど準備を進めたい」と力を込める。

事故現場などに居合わせた人が救急隊や医師に引き継ぐまでに行う応急措置は、日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が指針で手法を示している。同委員会は、人工呼吸や心臓マッサージが新型コロナの感染を広げる恐れがあるとして指針を改定し、厚労省が5月に公表した。

具体的には、反応や呼吸の確認では顔と顔を近づけすぎないようにし、心臓マッサージの際はウイルスの飛散を防ぐために患者の顔にハンカチなどをかぶせる。子どもは呼吸停止の影響が大きいため人工呼吸を行うが、成人には行わずに心臓マッサージと自動体外式除細動器(AED)による処置を続けるとした。

同委員会によると、市民による一次救命措置で重要なのは心臓マッサージとAEDによる電気ショックで「人工呼吸を行わないことで必ずしも救命率が低下するとは限らない」(担当者)という。

各消防局は感染拡大に注意しつつ、新たな手法の浸透を図る。救命講習を7月に再開したさいたま市消防局は、講習の定員を30人から20人に減らした。内容も止血法などを一部省き、3時間のコースを90分に短縮した。

SNS(交流サイト)などを使ってPRに取り組む消防局も。三重県の四日市市消防本部は6月、ハンカチを顔にかぶせた状態で心臓マッサージなどを行う約1分間の動画をツイッターで公開した。郡山地方広域消防組合や松戸市消防局なども動画投稿サイト「ユーチューブ」で指針に沿った蘇生法を紹介している。

総務省消防庁によると、2018年に一般市民が目撃した心停止の傷病者2万5756人のうち、1万4976人は市民が心肺蘇生を実施した。実施した場合の傷病者の1カ月後の生存率は17.5%で、行われなかった場合(9%)の約2倍だった。

消防関係者の間では、新型コロナ感染への不安から「消極的な人が増えるのでは」と懸念する声もある。東京慈恵会医科大の武田聡主任教授(救急医学)は「感染への不安から救命措置が遅れると、助かる命が失われる恐れがある。感染リスクを抑えた方法でためらわず救命活動に参加できるよう、講習などを通じて正しい知識を身につけてほしい」と呼び掛ける。

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