戦後の成り立ちに学ぶ投信 経済復興資金を産業界へ
積立王子への道(10)

積立王子
投資信託
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2020/7/30 2:00
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投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

長期国際分散投資はハートにフィットする

自分が稼いだお金が世界を舞台に経済活動の中に働きに出ていくことで世の中が豊かになり、次の経済成長を実現する糧となってグルグル回るのが本物の長期投資だと言ったよね。とりわけ国際分散投資は、自分のお金が世界の色々な国の人々の笑顔や幸せを増やすことにつながるわけだ。確かにいろはちゃんのような女子の乙女心にフィットして長期資産形成へのモチベーションを高める効果がありそうだ。

投資には蓄財以上の社会的意義がある

そもそも資産形成の目的はなんだろう? もちろん自分の将来の人生を豊かにするためだけれども、その過程で育っていく自分のお金が、より豊かで便利な社会を実現する経済成長に貢献する実感が得られたらステキだよね。

いろはちゃんの「キュン」は投資本来の社会的意義、すなわち「投資とは自らのお金を通じて経済活動に参加すること」という概念を直感的につかめているからかもしれない。それができれば長期投資はより魅力的で楽しい行動となるはずだ。

投信は国際分散投資に最適な器

中でも国際分散投資は、グローバル(国際)に、投資先・投資対象を分け(分散)、ポートフォリオ(組み合わせ)で投資する手法だ。普通の生活者にとっては自分で行うのは至難の業。プロの運用者がそれらの行為を代替してくれる投資信託を活用するのが最適と言えるだろう。

戦後日本で資金を集める受け皿に

日本における投資信託は70年近い歴史がある。戦後間もない敗戦国だった日本が再び欧米先進国に負けない経済力をつけるため、政府が産業振興こそがその礎と考えたことが投信の出発点だ。まず、国民に預金を奨励。銀行に生活者の持っているお金を集めて、銀行からの融資で産業界が必要資金を得られるようにして金融循環を実現したんだ。

同時に政府がもくろんだのが、資本市場を通じた産業界の資金調達手段の構築だ。そのための国策として制度化されたのが投資信託の仕組みだ。つまり国民のお金が預金だけでなく株式投資にも回ることで、産業界が銀行融資と併せて資金調達を可能とする金融循環を整備。そして高度経済成長に必要な資金を家計から産業界に流そうと考えたんだ。だから昭和の時代には我が国で投資信託といえば日本企業が事業拡大するために必要な資本を調達するのに役立つ日本株を対象にした商品がほとんどだったんだ。

中野晴啓(なかの・はるひろ)

セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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