キヤノン、4~6月期は初の最終赤字 開発など見直し

2020/7/28 18:48
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医療機器は営業増益を確保した

医療機器は営業増益を確保した

新型コロナウイルスがキヤノンの経営に影を落としている。28日発表した2020年4~6月期の連結最終損益は88億円の赤字(前年同期は345億円の黒字)だった。四半期業績の開示を始めた01年以降、赤字は初めて。事務機器に加え、成長事業の有機EL製造装置や監視カメラも落ち込んだ。デジタルカメラは開発・生産体制を見直し、収益回復を目指す。

「企業の閉鎖や渡航制限など、予期できない事象が世界中で発生している」。オンライン記者会見でキヤノンの田中稔三副社長兼最高財務責任者(CFO)は、こう語った。4~6月期の売上高は前年同期比26%減の6733億円、営業損益は177億円の赤字(前年同期は431億円の黒字)。「減収減益のほとんどはコロナによるもの」(田中副社長)で、影響額は売上高が約2100億円、営業利益は約700億円とみている。

4つのセグメントすべてで減収となったが、営業損益では影響に濃淡がある。デジカメに比べれば安定していた事務機器も、オフィス閉鎖の影響で販売や保守サービスなどが大きく落ち込んだ。オフィスセグメントの営業損益は9億円の赤字(前年同期は403億円の黒字)となった。

液晶や有機ELパネルの製造装置は渡航制限で設置が遅れたことが響いた。監視カメラも都市開発や商業施設の建設計画の遅れの影響を受けた。「産業機器その他ビジネス」は23億円の赤字(同94億円の黒字)だ。

デジカメも打撃は大きい。外出制限で旅行やイベントが減り、一眼レフやミラーレスの販売台数は54%減の50万台。在宅勤務の拡大でインクジェットプリンターの販売は伸びたが、イメージングシステム全体の営業利益は7億円と94%減った。営業増益は医療機器のメディカルシステムだけで、医療機関との商談は停滞したが、徹底した経費コントロールで増益を確保した。

経済活動の再開で事務機器は最悪期を脱し、徐々に商談や需要が戻ってきているという。ただし田中副社長は「コロナ収束のめどが立っておらず、回復ペースは限定的」とみている。20年12月期通期の売上高は前期比14%減の3兆800億円、最終損益は66%減の430億円を見込む。

今後はコスト削減と新規事業へのポートフォリオ転換を進める。150億円を投じ、事務機器のサービスやデジカメ販売の構造改革を実施。「今期中には投資を回収できる」(田中副社長)という。カメラ事業では開発・生産・販売体制を改め、製品群をスリム化する。拠点の売却を検討する考えも示した。

各国政府はコロナ対応で医療体制をさらに整備するとみられ、医療機器の需要は伸びる見込み。監視カメラなどの引き合いが強い。これらに経営資源を投入し、主力事業に育成する方針だ。

中間配当は前期から40円減の40円とした。減配はプラザ合意後の円高で収益が悪化した1987年12月期以来、33年ぶり。キヤノンはリーマン・ショックでも黒字を確保し、配当を維持してきた。収益管理で止血しつつ、新規事業を成長エンジンにできるか。底力が問われる。

(花田幸典)

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