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テレワークが浸透 働き方、住み方、生き方を変える

新しいお金の生活様式(5)

写真はイメージ=PIXTA

先月から「新しいお金の生活様式」というテーマについて考えていますが、今月は特に働き方を軸にあなたの「Life is MONEY」に及ぼす影響について考えてみます。

働き方が大きく変化しています。ウィズコロナ、そしていつかやってくるポストコロナ時代に、働き方はどう変わるでしょうか。

~テレワークという大きな変化がやってきた~

コロナ禍で働き方に「大波」が押し寄せました。それはテレワークです。

テレワークの実施率向上に向けた取り組みはこの数年進んできました。東京五輪の開催も控えていましたし、ワークライフバランスを向上させるためにも有用であると考えられてきたからです。しかしその動きは遅く、今年1月29日に経済産業省等の4省の呼びかけでは「オリンピック開催中には1割のテレワークを」と呼びかけていた程度でした。

    【「新しいお金の生活様式」記事一覧】

ところが、「密」を避ける選択肢のひとつとしてテレワークが強く推奨されたことで、特に首都圏のテレワーク実施率は向上しました。内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、34.6%の人たちがテレワークを経験したと回答しています。

コロナ感染拡大への危機感は、五輪を想定した目標の3倍以上を一気に達成するインパクトがあったわけです。

緊急事態宣言解除後、テレワークの実施率は低下傾向であると報じられる一方で、オフィス面積を一気に減少し、テレワークメインの働き方に舵(かじ)を切る企業の報道も見受けられます。

もちろんテレワークが難しい業種もたくさんあります。しかし、ウィズコロナ時代の働き方に「自宅でも働ける」という大きな変化が生まれてきたことは間違いありません。

~「痛勤時間」がなくなることで生き方が変わる~

テレワークで起きる最大の変化は「時間」でしょう。通勤時間が消えるからです。しばしば「痛勤時間」などとやゆされることもありますが、片道が45分なら往復1時間半、片道が90分なら往復3時間を「仕事に行くための時間」として私たちは費やしてきました。

片道45分だとしても、年52週×週5日で単純計算すれば1年で390時間が移動のために使われていることになります。そのあいだ、書籍を読んだり音楽や動画を見たりして有意義に使っている人も多いと思いますが、それでも移動しなくていいほうが疲れないためベターです。

中小企業向け人事労務管理システムを提供する日本シャルフ(東京・新宿)の調査によれば、テレワークに切り替わって良かった点として「通勤のストレスがなくなる」が第1位となっています。

また、自宅で勤務することで子育てや家事、あるいは通院などの時間確保にも自由度が高まります。同調査でも「家族と過ごす時間が増えた(61.2%)」「趣味の時間が増えた(41.2%)」「家事・育児や介護を両立できるようになった」などのメリットがあがっています。

一方で、仕事のオンオフの切り替えが難しいという回答もあり、24時間会社にエンドレスに拘束されるような働き方にならないよう注意も必要です。

~テレワークなら首都圏に縛られない~

あなたのマネープランにテレワークがすぐに与える影響としては、「職場での付き合い費用」「オフィス街での高いランチ代」などが減り、その分をプライベートの充実にお金を回すことが考えられます。

一方で、自宅で仕事をするための費用(光熱費等)をどう手当てするかは今後の整備が求められるところです。特に夏場にエアコンをかけっぱなしにしたら、電気代は相当膨らみます。

さらに長い目で見たときにも、テレワークが家計に及ぼすインパクトがあります。それは「住み方の変化」による生活コストの大変動です。

テレワークが今後も一定割合で普及した場合、あまりにも狭い部屋は避けられるようになるでしょう。例えば窓も閉め切っているワンルームマンションで、毎日テレワークを続けるのはちょっと辛いからです。職場に近いからといって高くて狭い部屋を選ぶのは意味がなくなります。

また、会社に出社するのが週1回くらいでいい、あるいは月1回くらいでいいとなってくれば、「会社から1時間以内の場所でマイホームを探して買おう」という制約からも解放されます(子どもの通学の問題はまだしばらく残るかもしれませんが)。

テレワークのストレスのうち、「部屋が狭いこと」を解消する方法はやはり、大胆に郊外に転居するような選択です。

例えば東京23区内のワンルームマンションの予算があって首都圏を離れることができれば、2部屋、あるいは40m2以上を楽に確保できるでしょう。

マイホームを買う予算もまったく違ってきますし、生活コストも変わってきます。広くて快適な家を、「通勤1時間以内」のような制限を気にせず選べるようになれば、「同じ予算ならより快適な家」「同じ広さならより安い家」が買えることになります。

そして快適さだけでなく人生の収支に大きく影響する住宅購入とローン返済にも影響してくることになるわけです。その金額は1000万円を超えることもあるでしょう。

~できる仕事、できる会社からテレワークを~

テレワークによって誰にも邪魔されない環境で、慣れた事務を淡々とこなすような仕事は生産性を高めてくれるでしょう。資料の作り込みや読み込みのような作業も、中断されずにひとりで集中しているほうが効率的かもしれません。

とはいえ、テレワークを単純にプラスと捉えるのも早計です。まだ新人である人が指導を受けながらスキルアップをしていくときにはフェイス・ツー・フェイスのアドバイスのほうが有効かもしれません。あるいは、逆に上司となって新人に指導をするとき、相手の仕事の様子をうかがうことはリモートでは難しいかもしれません。

雑談や対面によるブレインストーミングからアイデアを生み出すようなことも仕事に必要な部分でしょうが、それも全面的にオンラインに移行できるかはまだ分かりません。

そしてこれからも、対面が必須な仕事もたくさんあります。小売店舗、配送、工場など、どんなにテレワークが普及しても、切り替えできない仕事もたくさんあります。

しかし、できる人からチャレンジをしてみるのがウィズコロナ時代に求められているアプローチです。1月には10%の実施率さえ大目標だったものが、うまく定着すれば今後も20%以上の実施率になるかもしれません。これは大きな進化として受け止めてほしいと思います。

テレワークができる仕事、テレワークができる会社から、これからもぜひ取り組みを継続してみましょう。

長い目で見れば2020年は、私たちの働き方と生き方を見直すことになった大きな転換点として記憶されることでしょう。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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