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成長株か割安株か コロナ下、投資初心者の注目銘柄は

写真はイメージ=PIXTA

株式市場でバリュー(割安)株の苦戦が目立っている。TOPIX(東証株価指数)のバリュー指数は、2019年末比で17%下落(7月22日時点)。一方、グロース(成長)指数はほぼ横ばいの水準で、グロース株投資の優位は鮮明だ。コロナ禍で相次ぐ業績予想の非開示などがその背景として指摘されるが、個人投資家の間ではコロナショック後に投資を始めた投資初心者の動向も注目を集めている。

超割高水準でも成長期待あれば「買い」

「今年は大きく考え方を変えないといけない。周りで利益を上げている投資家はグロース株や値動きの荒いモメンタム株に上手く乗っている印象だ」。湘南で個人投資家の勉強会を主催する個人投資家のkenmoさん(ハンドルネーム)はそう明かす。

kenmoさんは収益力に比べて割安な株式に集中投資する「収益バリュー投資」を得意とする。ただ、20年については思うように投資成績を伸ばせていないという。バリュー株の水準訂正がなかなか起こらない一方、「これまで投資対象には全くならなかったようなPER(株価収益率)100倍以上の銘柄ばかりが上がる状況になっている」とkenmoさんはみる。

成長期待が大きい銘柄に群がる個人

日経マネーが今年4~5月にインターネット上で実施した個人投資家調査(回答者数3万4973人)で「値上がり期待銘柄」として人気を集めた新興市場・東証2部の人気上位10銘柄を見ると、メドレー(4480)の310.7倍を筆頭に、高PER銘柄が並んでいるのが分かる(下表)。メドレーの株価は昨年末比で2.5倍となるなど、株価も概ね堅調だ。創薬ベンチャーのアンジェス(4563)など、赤字ながら人気を集めている銘柄も多い。

なぜ高PERのグロース株が個人投資家に人気なのか。理由の一つとして考えられるのは、単純に株価上昇が期待できるからだ。特に今年の場合は、コロナショックによる株安をみて新規参入した個人投資家が、こうした人気銘柄に飛び付いたと指摘する声もある。「ツイッターなどのSNS(交流サイト)で新規参入組が『もうかった』と声をあげ、それがさらなる買いを呼ぶ相場になっている」と、あるベテラン投資家は苦笑する。

動画投稿サイト「ユーチューブ」の影響を指摘する声もある。個人投資家調査で、今年投資を始めた人が影響を受けたメディアについて聞いたところ、ユーチューブが書籍に次いで2位だった。投資系ユーチューブチャンネルの多くは初歩的な内容だが、中小型の個別銘柄について多く言及するチャンネルに数万人が登録するなどの変化も出始めている。「ユーチューバーに影響を受けた個人が、グロース株をさらに買い進めた可能性もある」とkenmoさんは話す。

配当狙いではバリュー株も人気

新規参入組はグロース株投資一辺倒なのだろうか。ネット証券大手のSBI証券の新規口座開設者が6月に買った銘柄をみると、違った側面が見えてくる。

現物取引での人気上位には、オリックス(8591)やメガバンクなど高配当のバリュー株が並んだ。優待人気が根強い空運株も存在感を示す。

一方、信用取引では値上がりが目立っていたソフトバンクグループ(9984)や、アンジェスやテラ(2191)といった値動きの激しいバイオ株の取引が多い。こうしたデータからは、「安定収益を狙うには高配当のバリュー株、大きく勝つにはグロース株で信用取引も行う」という「使い分け」ともいえる投資戦略が見て取れる。

ユーチューブで投資系チャンネル「Zeppy投資ちゃんねる」を運営する個人投資家の井村俊哉さんは、「基本的に、皆が知っている有名な会社を取り上げた方が視聴回数を稼ぎやすいことに加え、高配当銘柄はユーチューブでも人気コンテンツだ」と話す。

長期の資産形成を目指す層も

短期の値幅取りだけでなく、高配当バリュー株にじっくり長期投資しようとする姿勢も併せ持つ新規参入組。この背景が透けて見えるのが、同調査で明らかになった「投資を始めた動機」だ。

今年投資を始めた人に「証券口座を開設した理由」を聞いたところ、「投資で儲けたい」(50.6%)と並んで「自分で老後資金を確保するため」(50.7%)が挙がった(複数回答)。コロナショックによる相場急落を好機とみて投資を始めた人が多い一方、昨年の「老後資金2000万円問題」など老後資金不安の高まりから、株式投資により長期の資産形成に動いた面もある。

17年後半の仮想通貨バブルでは、目先の利益を追い求めた投資初心者が、18年初めのバブル崩壊とともに相場からの退場を余儀なくされた。今回の初心者の投資ブームがこうした短期の売買益追求目的のみならず、長期投資による腰の据わった資産形成を目指す向きもあるならば、足元のグロース株優位の相場が終わっても、20年新規参入組の相場での存在感が薄れることはないのかもしれない。

(川路洋助)

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