タイ、触らぬ機器に感染なし 注文端末もエレベーターも

2020/7/28 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

ブラック・キャニオンが導入を計画するタッチレス端末「eat(イート)」

ブラック・キャニオンが導入を計画するタッチレス端末「eat(イート)」

タイで「タッチレス(非接触)」技術が急速に普及している。注文、決済が非接触でできるカフェ、顔認証のコインロッカーのほか、手をかざしたり、足でペダルを踏んだりするエレベーターまで登場した。年間約4000万人の観光客が訪れる国だけに、「新常態」の衛生管理をアピールして新型コロナ収束後の観光誘致につなげる。

東南アジア7カ国に約160店舗を展開するタイの大手カフェチェーン、ブラック・キャニオンは7月末までにバンコクの2店舗に「eat(イート)」と名付けたタッチレス端末を導入する。

パネルの前に立つと、店内の利用か、持ち帰りかを選ぶボタンが表示される。タッチパネルと異なるのは、指を指す動きをするだけでスクリーンに触らず操作ができる点だ。センサーが動作を感知し、指さしたポイントを明るく光らせて確認する。

メニューから商品を選んで「お支払い」のボタンを指すと、QRコードが表示され、モバイル決済で会計を済ませることができる。レシートもデジタルだ。スマートフォンのカメラでQRコードを読み取るとレシートが表示される。店に入ってから手が触れるのは自分のスマホとできあがったドリンクだけだ。

同端末はカシコン銀行傘下のカシコン・ビジネステクノロジー・グループ(KBTG)とブラック・キャニオンが共同開発した。KBTGのルアンロート会長は「タッチレス技術は新型コロナの感染防止に極めて重要な役割を果たす」と意義を強調する。

KBTGが開発したのはカフェ用の端末だけにとどまらない。6月中旬にはタッチレスで使えるコインロッカーや顔認証を使った決済サービス「フェース・ペイ」も公開した。ルアンロート会長は「近い将来、娯楽やファッション、ヘルスケア業界向けにもサービスを広げていきたい」と意気込む。

多くの人が集まる商業施設もタッチレス化に取り組む。タイ小売り最大手セントラル・グループが運営する「セントラル・フェスティバル・イーストヴィレ」はボタンに触らず、センサーに手をかざすだけで行き先の階を指定できるエレベーターを導入した。

商業施設「シーコン・スクエア」はエレベーターを足踏み式に改修(14日、バンコク)

商業施設「シーコン・スクエア」はエレベーターを足踏み式に改修(14日、バンコク)

タイの中堅不動産開発会社シーコン・デベロップメントもバンコク郊外の商業施設「シーコン・スクエア」のエレベーターを改修。足元に数字を書いたペダルを置き、行きたい階のペダルを踏んでフロアを指定できるようにした。エレベーターの呼び出しボタンも足踏み式にし、買い物客が手を触れずに乗り降りできるよう工夫する。

観光大国のタイにとって衛生や安全面のアピールは今後の重要な課題だ。タッチレス技術は日立製作所NECなど日本勢も強みを持つ分野。新型コロナをきっかけに大きな商機が生まれそうだ。

■キャッシュレス化も進行

衛生意識の高まりでタッチレス化と並行し、不特定多数が触る現金を避けてキャッシュレス決済を選ぶ動きも加速している。タイ中央銀行によると、金融機関横断の決済システム「プロンプトペイ」の1日あたり決済件数は3月に平均1100万件と、前年同月比約2倍に急伸。商業銀行大手が提供するモバイルバンキングなどのサービスも伸びが目立った。

米クレジットカード大手のビザが6月に公開した調査(2019年8月に実施)によると、カードを読み取り機にかざすだけで支払いができる「非接触決済」を使っている人の割合はタイで50%に及んだ。利用は前年比14%増と、域内ではマレーシアに次ぐ伸びをみせている。さらに「12カ月以内にさらにキャッシュレス決済の利用が増える」と予想した割合は72%と、東南アジア平均(69%)を上回った。

先端技術への抵抗感も薄い。米アマゾン・ドット・コムのような「レジ無し」の決済方法についてタイは89%と域内でもっとも高い関心を示した。理由の上位には「支払いのために並ばなくて済むから」「革新的な決済方法だから」「新しいものを試してみたいから」が並んだ。

(バンコク=岸本まりみ)

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