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中外製薬、1~6月期純利益48%増え過去最高

中外製薬が27日発表した2020年1~6月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比48%増の1022億円だった。上半期としては過去最高だ。血友病治療薬が好調で海外販売を担う親会社のスイス製薬大手ロシュからのロイヤルティー収入も伸びた。新型コロナウイルスの治療薬候補への期待も集まり、時価総額は2月から国内製薬大手で首位が続く。

売上高にあたる売上収益は15%増の3681億円。自社開発した血友病治療薬「ヘムライブラ」がけん引した。同薬は週1回の皮下注射で済み、週2~3回ずつ体への負担が大きい静脈注射が必要な競合薬に比べて利用しやすい。割安な値段から通常価格に引き上げたロシュ向けの売り上げが157億円と、10倍に膨らんだ。

売上総利益率は64.2%と4.2ポイント上がった。他の薬も合わせた、ロシュの販売に応じて受け取るロイヤルティーなどの収入も625億円と65%増加。こうした収益は営業利益にほぼ計上。売上収益に占める自社開発品の比率も上がった。

中外薬は継続的な事業の利益を示すコア営業利益ベースで、業績予想を開示している。20年12月期の通期見通しは前期比22%増の2750億円とする従来予想を据え置いた。新型コロナの影響で国内を中心に新規患者への提供が想定よりも進んでいないが、電話会見した板垣利明・最高財務責任者(CFO)は「経費も抑えられており、計画は達成できる」と話す。

株価は17年から上昇基調で、年初来高値をつけた20年6月29日には時価総額が一時10兆円を超えた。直近では利益確定売りも出ているが、時価総額は医薬品2位の第一三共を2兆円強上回る。

株式市場が評価するのは2つのポイントだ。1つが02年に傘下入りしたロシュとの戦略的な提携。ロシュは中外薬の株式の6割を持つ筆頭株主だが、研究についての意思決定権を中外薬に与え独立的な経営を認めている。一方で費用がかさむ海外の臨床試験(治験)や販売はロシュに任せ、費用を抑えられる。こうした体制の中でヘムライブラが伸びてきた。

また、中外薬はロシュの新薬を日本で売る権利を持つ。1~6月期も肺がんなどに使う免疫治療薬「テセントリク」は166億円販売した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の若尾正示氏は「革新的な新薬づくりに中長期目線で取り組める好循環ができている」と評価する。

2つ目が新型コロナの治療薬として有望視される抗リウマチ薬「アクテムラ」の存在だ。重症の新型コロナウイルス肺炎に対して国内外で治験を進めており、関連需要を含め1~6月期のロシュ向け輸出額は39%伸びた。会見では小坂達朗最高経営責任者(CEO)が「治験結果を踏まえて20年内にコロナ治療薬として申請する」と話した。

ただ時価総額を世界展開するメガファーマと比べると差は大きい。QUICK・ファクトセットによると直近で比較できる22日時点で中外製薬は8兆7000億円に対し、1位の米ジョンソン・エンド・ジョンソンは42兆円と約5倍だ。

株価がここからもう一段上昇するにはアクテムラの治験が進むことと、創薬の進捗がカギを握る。その候補の1つ、アトピー性皮膚炎の治療薬候補「ネモリズマブ」はこのほどフェーズ3の治験でかゆみの改善と安全性が確認された。当面はこうした新薬候補の発売時期や販路づくりなどが焦点になりそうだ。

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