鉄鋼館「音響彫刻」 心揺さぶる重奏音(古今東西万博考)
1970年・大阪

関西タイムライン
2020/7/28 2:00
保存
共有
印刷
その他

1970年大阪万博で日本鉄鋼連盟が出展したパビリオン「鉄鋼館」は、建物全体で「音」を楽しむ趣向で、フランス人彫刻家のフランソワ・バシェによる17基の「音響彫刻」も注目を集めた。うち3基は現在、万博記念公園(大阪府吹田市)にある記念館「EXPO'70パビリオン」(旧鉄鋼館)のエントランスに展示されている。

ステンレスやアルミ、ガラスなどでできたパイプや金属板が組み合わされ、一見すると観賞用だが、手でこすったりバチでたたいたりすることで、音が何層にも重なり合ったような複雑な音色を奏でる。京都市立芸術大の岡田加津子教授(作曲)は「当時は楽器彫刻と呼ばれた。音楽はドレミでできているという先入観を覆す、新しい楽器の可能性を秘めている」と語る。

17基の音響彫刻は69年に来日したバシェが制作。万博後は分解され40年にわたって倉庫で眠り続けていた。2010年からバシェの弟子や万博当時の日本人助手らの手で修復が始まり、15年には京都市立芸大も2基の修復に携わった。「バシェの音響彫刻プロジェクト」リーダーを務める岡田教授は「展示写真はわずかに残っているが細部の様子がわからず、設計図もない。手探りの修復だった」と振り返る。

今年はバシェの生誕100年で、大阪万博からは50年の節目の年。川崎市岡本太郎美術館(川崎市多摩区)が7月中旬まで5基の音響彫刻を展示し、11~12月には京都市立芸大の「バシェ音響彫刻プロジェクト」が京都市内で特別企画展を開催予定だ。ワークショップや体験コーナーも計画しており、岡田教授は「電子音があふれる現代だが、ぜひ生の音に揺さぶられる経験をしてほしい」と話している。(三浦日向)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]