三菱地所、木材事業で新会社 製販一体でコスト削減

住建・不動産
2020/7/27 17:08
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三菱地所は27日、国内7社が出資して木材の製造から販売までを担う新会社を設立すると発表した。中間コストを省き、木材を生かした新建材や戸建て住宅を低価格で販売する。鹿児島県内に木材の加工施設も設置する計画で、10年後に売上高100億円を目指す。

法規制や価格面が課題となる(27日の記者発表会)

三菱地所はCLTを床に使った日本初の高層建築物を手がけた(仙台市)

記者発表会には各社の幹部らが集まった

新会社名は「MEC Industry」。三菱地所のほか竹中工務店や九州の地場大手ゼネコンである松尾建設(佐賀市)、地場商社の南国殖産(鹿児島市)などが出資した。本社は当面、鹿児島県霧島市に置く。

新会社では新建材事業と「木(もく)プレファブリック事業」に取り組む。新建材事業では鉄筋コンクリートと鉄骨に木材を取り入れた新しい建材を三菱地所などが開発する。通常は廃材となる型枠材を天井の仕上げ材に使い、施工の負担を減らしてデザイン性も高める。木プレファブリック事業はCLT(直交集成板)と呼ばれる合板などを活用する。工場で作った部材を現場に持ち込むことで、低価格の木造戸建て住宅を提供する。

大手ゼネコンから地元企業まで広く手を組むのは国産材の活用を進めるためだ。日本では国土面積の約3分の2を森林が占めるといわれるが、山林で伐採した木材は加工や製造、組み立ての過程を経て価格が高くなりやすい。新会社は製販や一部施工を一手に担うことで低価格を実現する。

2021年4月に新建材と戸建て住宅の販売を始める計画。21年秋には新建材を天井に使うホテルが札幌市で開業するという。22年4月には鹿児島県湧水町で木材加工を手掛ける生産拠点を本格稼働する方針で、効率的なサプライチェーン(供給網)実現を目指す。記者発表会でMEC Industryの森下喜隆社長は「低価格で消費者が求める商品を提供しやすくなる」と語った。

旗振り役の三菱地所はこれまでも木材事業に力を入れてきた。代表例が材木を90度向きを変えて何重にも張り合わせたCLTだ。通常の材木よりも強度が高いうえにコンクリートより軽く断熱性があるともいわれ、17年度に専門部署「CLTユニット」を設置した。

国内の建築物でのCLT活用も進め、19年に完成した仙台市の賃貸マンションでは床材にCLTを使っている。同年3月に開業した沖縄県宮古島市の空港ターミナルでは屋根の構造材にCLTを採用しており、東京都千代田区のオフィスビルでも使用実績がある。

国産木材を高層建築物にも使えば地域の林業活性化などにつながるが、日本では規制の壁もあって進んでいない。オーストラリアを中心にCLTなどの木材を生かした高層建築物が普及する海外との格差は大きい。

三菱地所の吉田淳一社長は「新会社を日本の近代史を切り開いた鹿児島県で始め、革新的なイノベーション(技術革新)を起こしたい」と語った。新会社が思い描く将来像を実現するには、7社の緊密な連携とスピード感を持った実践が欠かせない。

(原欣宏)

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