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三菱自動車が最終赤字3600億円 20年度、欧州で新車中断

(更新)

三菱自動車は27日、2021年3月期の連結最終損益が3600億円の赤字(前期は257億円の赤字)になりそうだと発表した。新型コロナウイルスの影響で世界での販売台数が急減。工場閉鎖や人員削減など構造改革に伴う費用が膨らむ。配当もゼロ(前期は10円)とする。

最終赤字額はリコール問題で業績が悪化した05年3月期(4747億円の赤字)以来の水準となる。

同日、完成車組み立てを手掛ける子会社、パジェロ製造(岐阜県坂祝町)の閉鎖を決めたと発表した。東南アジアに経営資源を集中し、欧州は新規商品の投入を凍結する。一連の合理化策を受けて今期に構造改革費用を含めた特別損失を2200億円計上する。

今期の売上高は前期比35%減の1兆4800億円、営業損益は1400億円の赤字(前期は127億円の黒字)の見込み。世界販売は25%減の84万5千台となる計画。新型コロナの影響で主力の東南アジアや北米、欧州などで軒並み販売が落ち込む。

「経験したことがないほどの厳しさが続いている」。三菱自の加藤隆雄・最高経営責任者(CEO)は27日の電話会見でこう語った。

20年4~6月期の世界販売台数は13.9万台と、前年同期比53%減った。部品の調達難や需要減少を受け、3月下旬から国内の主力3工場で生産調整を余儀なくされている。

逆風のなか、27日に発表した22年度までの3カ年の中期経営計画ではまず構造改革を掲げた。パジェロ製造の工場で21年上期に生産を止め、閉鎖する。輸出向けに生産を続けてきた多目的スポーツ車(SUV)「パジェロ」からは完全に撤退する。国内工場の閉鎖は01年の大江工場(名古屋市)以来、約20年ぶりだ。

欧州向けの新車投入の凍結も発表した。環境規制の厳格化で、開発費用の負担などが重くなるとみるためだ。今後は現行車の販売やアフターサービスに特化する。欧州市場での成長を事実上、断念した形だ。

新型コロナで傷口が一気に広がった背景には、経営が「身の丈を超えた」(三菱自の益子修会長)規模になっていたことの反動もある。

三菱自は16年に燃費不正問題が発覚し、日産自動車からの出資を受け入れた。日産会長だったカルロス・ゴーン氏が三菱自の会長も兼務し、仏ルノーも含めた3社連合を形成。欧米など主要市場への拡大戦略を進めた。三菱自の19年3月期の世界販売台数は、日産の出資前の16年3月期に比べて2割増の124万台まで増えた。

だが、18年にゴーン氏が逮捕されたうえ、20年3月期には拡大のひずみが露呈した。東南アジアを除く主要地域(日、欧、北米)で軒並み営業赤字に陥った。新型コロナなどによる需要減に加え、大量の車種の投入による開発費の増加などで販売台数の伸びが利益に結びついていない。

21年3月期の大幅赤字見通しを受けて、三菱自の自己資本比率は20%台まで低下する見込みだ。00年以降は相次ぐリコール問題などで業績が悪化し、長らく10%台で低迷する状況が続いた。10年代以降の業績回復や増資などで19年3月期には43%にまで高まったが、これまでの蓄積が失われてしまう計算だ。

こうした反省を踏まえ今後は縮小路線に転じる。まずは主力市場の東南アジアに経営資源を集中させる。低燃費車では、得意とするプラグインハイブリッド車(PHV)について、21年からタイでSUV「アウトランダー」の生産・販売を始める予定。ピックアップトラック「トライトン」などの新型車も相次ぎ投入する。

生産・販売では三菱グループの三菱商事との連携も強化する。こうした取り組みで19年度に10.6%だったタイやインドネシアなど東南アジア4カ国でのシェアを、22年度には11.4%に伸ばす計画だ。

東南ア向けの商品を他の新興国にも水平展開する。オーストラリアや南米、中東などを「第2の柱」と位置づけ、シェア拡大を狙う考えだ。

三菱自の東南アジア戦略の成否は、3社連合の成長にも影響しそうだ。3社は5月末、得意とする地域や技術ごとに1社を「リーダー」とし、その分野を主導する体制を明確化すると発表した。三菱自は東南アジア市場を任された。

例えば生産面では日産がインドネシアで工場を閉鎖する代わりに、三菱自に乗用車の生産を委託する。フィリピンでも三菱自が日産車の生産を請け負う見通しだ。

ただ、先行きを懸念する声もある。東海東京調査センターの杉浦誠司・シニアアナリストは「不採算の北米事業にほぼ触れないなど、中計として踏み込み不足だ」と指摘する。東南アジアへの注力には理解を示すものの、PHVの価格の高さなどを不安要素とみる。東南アジアへの一極集中は大きな賭けでもある。

(寺井浩介、押切智義)

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