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「低空戦」の先駆者 バドミントン園田・嘉村組(上)

中国ペアと対戦する園田(上)、嘉村組(2019年12月)=共同

矢のように速く、真っすぐに、ネット上すれすれにシャトルを通して相手の胸元を狙い打つ。ともに169センチと小柄な2人が持ち前の高速ラリーを繰り出すと、大柄な海外勢の足が止まり、勢いがしぼんでいく。

バドミントン男子ダブルス日本代表の嘉村健士、園田啓悟組(トナミ運輸)。現在、日本勢最高の世界ランキング4位につける同級生ペアは、自ら「低空戦」と称する低い弾道のラリー戦を武器に世界の強豪と渡り合ってきた。「低空戦だけなら自分たちが一番」。昨年4月に始まった東京五輪の選考レースでも安定した成績をおさめ、代表入りに王手をかけている。

高い打点からのスマッシュといった男子ならではのパワープレーとは対照的に、低空戦は「ノーロブ」と呼ばれる戦術を使う。相手の強打を避けるために山なりの球を返さず、「ドライブ」や「プッシュ」といった直線的なショットで攻める。現在世界1位のペアを抱えるインドネシアを中心に、男子ダブルスでここ数年広まってきた戦い方だ。

ただ、日本の2人は「低空戦歴」16年を誇る、いわば先駆者である。中学3年で初めてペアを組んだ時から「お互いドライブ系(のショット)が好きで得意としていた。最初からくるくるとローテーションができた相手は初めてだった」と嘉村は言う。低くて速い、独特のスタイルを身につけると、熊本・八代東高3年時に高校総体3位となった。卒業後は別々の進路を歩んだものの、2010年の再結成後は一気に日本のトップへと駆け上がった。

上背がない、この競技ではデメリットとなる特性も、低空戦には好都合だった。「角度があるスマッシュは打てないけれど、構えた時に(頭が)ネットの高さにあるのでドライブを打ちやすい。あえて球を上げさせず、ドライブを武器にするよう仕向けた」と所属先であるトナミ運輸監督の荒木純はいう。同チームは「ノーロブ」を先んじて取り入れたインドネシアから指導者を招いていたこともあり、2人のショットの速さは日に日に磨きがかかった。

頭脳派で司令塔の嘉村と、本能のままに動く野性的な園田。「自分は考えるタイプで、啓悟は何も言わずに聞くタイプ」と嘉村が言うようにあまりに対照的な2人だが、コート上では長年連れ添った夫婦のようにあうんの呼吸を見せる。

「集大成」と位置づける東京五輪へ描く青写真も同じだ。「男子ダブルスをおもしろいと言ってもらいたい」。1年後の夏、自慢の高速低空ラリーで日本中を魅了する瞬間を夢見ている。=敬称略

(堀部遥)

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