米抗議デモ、再び緊張高まる シアトルで過去最大規模

2020/7/27 12:32
保存
共有
印刷
その他

25日、米西部ワシントン州シアトルでの抗議デモでは少年拘置所の建設現場に放火するなど一部が暴徒化した=AP

25日、米西部ワシントン州シアトルでの抗議デモでは少年拘置所の建設現場に放火するなど一部が暴徒化した=AP

米国で人種差別などに対する抗議デモで再び緊張が高まっている。25日、過去最大規模のデモが起きた米西部ワシントン州シアトルでは数十人の拘束者が出たほか、テキサス州オースティンでは射殺事件も発生した。複数の米メディアが報じた。連邦治安要員の投入などの取り締まりが人々の怒りに火をつけている。

「正義がなければ平和はない」。週末に最も激しい抗議が起きたシアトルでは声を上げた約5千人のデモ参加者の一部が少年拘置所の建設現場などに放火した。地元警察は「暴動」であると宣言し、鎮圧に乗り出した。

ニューヨーク・タイムズ(電子版)は警察が閃光(せんこう)手りゅう弾や唐辛子スプレーを参加者に浴びせ人々を地面に叩きつけ、抗議者、警察官の両方が負傷したと伝えた。警察はツイッターで「45人を拘束し、警官21人も投石などで負傷した」と明らかにした。

オレゴン州ポートランドでは25~26日、何千人ものデモ参加者が裁判所の外に集まった。ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、一部は建物を囲むフェンスを突き破る前に、石や花火を投げ込んだ。

オースティンでは25日、黒人の人種差別に抗議する人々が集まった州議事堂近くで射殺事件が発生した。警察やフェイスブックに投稿された動画によると、1台の車がデモ参加者らに突入し、銃を持って近づいた男性に運転手が発砲した。容疑者は拘束され、捜査に協力しているという。

抗議デモ参加者を地面に押さえつけ鎮圧する警察(25日、米西部ワシントン州シアトル)=AP

抗議デモ参加者を地面に押さえつけ鎮圧する警察(25日、米西部ワシントン州シアトル)=AP

黒人男性が白人警官による暴行で死亡した5月25日以降、全米各地で数多くの抗議活動が行われている。週末は数万人が参加するなど規模が拡大し、暴力的な行動も増えた。ポートランドなど各地で地元当局や連邦政府による行き過ぎた取り締まりへのいら立ちが背景にあるとみられる。

トランプ大統領は23日、抗議デモに絡んで各地で進める治安要員の派遣をシアトルにも広げると表明した。22日には数百人を犯罪件数が深刻な中西部イリノイ州シカゴと西部ニューメキシコ州アルバカーキに派遣すると発表した。ポートランドと中西部ミズーリ州カンザスシティーにも要員を派遣済みだ。政権は治安回復に向けた「レジェンド作戦」と位置付ける。

ポートランドでは暴動から連邦裁判所などを守る名目で国土安全保障省の治安要員らが派遣されたが、適正な手続きを欠いた身柄拘束や過剰な取り締まりが市民の激しい反発に遭い、さらなる衝突に発展した。派遣地域の多くは野党・民主党系が市長を務め、首長らは「政治目的で対立をあおっている」と批判する。

大統領選で民主党の候補指名が確実視されているバイデン前米副大統領も21日、ポートランドでの取り締まりは「平和的なデモを攻撃している」と指摘。「政治的利益のためではなく、誠実に法を執行する大統領が必要だ」と強調した。(白岩ひおな)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]