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高評価ヤンキース、明るく発進 コロナで高まる注目
スポーツライター 杉浦大介

2020/7/27 3:00
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今季開幕戦で好投、ヤンキース移籍後初勝利を挙げたコール=USA TODAY

今季開幕戦で好投、ヤンキース移籍後初勝利を挙げたコール=USA TODAY

「試合前、クラブハウスを歩き回っているときに、みんながヤンキースのユニホームを着ているのを見て、これは現実なんだと実感が湧いたよ。だから序盤はアドレナリンとの戦いでもあったんだ」

7月23日、ついにやってきた米大リーグ・ヤンキースの今季開幕戦。昨季20勝を挙げた投手とは思えないゲリット・コールの初々しいコメントが印象的だった。

昨季のワールドシリーズ王者ナショナルズと敵地ワシントンで対戦して、ヤンキースは4-1で快勝。9年で総額3億2400万ドル(約345億円)という途方もない契約でヤンキースに加入したコールは、六回途中降雨コールドながら新天地での初登板を1安打完投勝利で飾った。ニューヨーク生まれの父の影響で幼少期からヤンキースファンだった新エースは試合後、「最高に楽しかった」と満面の笑み。憧れのチームで"デビュー"を飾った喜びが抑えきれない様子だった。

コールの言葉、表情に象徴されるように、ヤンキースの周囲は明るい雰囲気に包まれている。米紙USA TODAYが開幕前に発表したパワーランキングでも全30球団中で堂々の1位。新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)の影響で60試合のみという異例のシーズンとなり、予想の難しい戦いになりそうだが、そんな中でもメジャー最多27度のワールドシリーズ優勝回数を誇る名門チームの力は高評価されている。

開幕戦で先制2ランを放ち、ジャッジ(左)とともに喜ぶスタントン=USA TODAY

開幕戦で先制2ランを放ち、ジャッジ(左)とともに喜ぶスタントン=USA TODAY

振り返ってみれば、新型コロナによって開幕が遅れたことはヤンキースにとって少なからずプラスに働いた印象がある。春季キャンプの時点では、多くのケガ人に見舞われていたからだ。

2月中旬に始まったキャンプ中、ジャンカルロ・スタントンが右ふくらはぎのケガ、アーロン・ジャッジが右肋骨の疲労骨折で離脱。アーロン・ヒックスも昨季終了後に右肘のトミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)を受けており、そのままいけば外野のレギュラーがすべて不在のまま開幕に臨むところだった。

先発投手陣では昨季15勝を挙げた左腕ジェームズ・パクストンが腰の手術で離脱したのに続き、一昨年19勝のルイス・セベリーノは右肘にトミー・ジョン手術を受けて今季絶望。昨季18勝のドミンゴ・ヘルマンも家庭内暴力による出場停止で今季開幕から63試合は登板できないこともあって、先発ローテーションは完全にコマ不足になっても不思議はなかった。

ところが――。コロナショックで開幕が7月までずれ込んだことで、状況は一変する。長い中断期間を経て、ジャッジ、スタントン、ヒックス、パクストンはすでに戦列復帰。7月上旬に通称「サマーキャンプ」が始まった時点で、セベリーノを除けばほぼベストに近いメンバーがそろっていた。

田中も遠からず先発ローテーションに戻ってこられそうだ=ヤンキース提供・共同

田中も遠からず先発ローテーションに戻ってこられそうだ=ヤンキース提供・共同

その後、田中将大が実戦形式の練習で打球を頭に当てて離脱し、守護神アロルディス・チャップマン、昨季打率3割2分7厘の好打者DJ・ラメーヒューがコロナ陽性で抜けるアクシデントはあったものの、しばらくは層の厚さで乗り切れそうだ。田中も遠からず戻ってこられそうで、ヤンキースはさらに隙のないメンバーになるかもしれない。

「みんなが健康なときの打線の破壊力を見ることができた。後に控えている強打者たちにつなぐことを考えたよ。僕たちの力を示せたと思う」

23日のナショナルズ戦後、チームリーダーのジャッジは目を細めてそう述べていた。実際に昨季メジャー史上2位の306本塁打を放った重量打線は脅威。コールの加入で投手陣に軸ができたうえに、ジャッジ、開幕戦で豪快な先制弾を打ったスタントンが好調なら、ヤンキースの今季の視界は良好だ。

依然として多くの人々がコロナウイルスの脅威に苦しみ、耐えている。そうした中、2001年の米同時多発テロ事件直後と同様、ニューヨークではヤンキースの活躍に期待する声も聞かれる。ワールドシリーズまで勝ち進んだ19年前と同じように、ヤンキースの頑張りで地元の人々に明るいニュースを提供できるかもしれない。とりわけケガから復帰した選手たちが、復興の象徴として輝けるか。ニューヨークのシンボルの一つでもある名門チームの今後に、これまで以上の注目が集まる。

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