医療体制に逼迫の足音 入院急増で病床確保急ぐ
全国で新規感染者数が900人を超え、過去最多を更新するなど感染拡大に一向に歯止めがかからない。4月の「第1波」と比べて拡大の速度は緩やかとの分析もあるが、収束の兆しは見えず医療体制も逼迫の度合いを強めている。
「都民にはできるだけ外出を控えていただきたい。皆さんの協力で感染拡大を止めていかないと指数関数的に増えていく」。都内の新規感染者数が366人に達したことに小池百合子知事は危機感を示した。
感染拡大は都内だけにとどまらない。大阪府でも新規感染者数が100人を超えた。20日までの1週間で感染者が1人も出なかったのはわずか6県にとどまる。
22日の政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は感染状況をより正確に示す発症日ごとの感染者数で比較した場合、増加速度は4月の「第1波」より緩やかとする。都は夜の繁華街などで幅広く検査を実施することで封じ込めを狙うが、検査数を増やせば増やすほど感染者が増える状況だ。
7月上旬まで余裕があるとしていた医療体制も逼迫し始めている。埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県の入院患者数は2週間前の2~4倍に増えた。感染者の大半を20~30代の若者が占めるため重症者は少ないものの、埼玉県では22日時点の入院者数が444人とピーク時に確保する602床の7割に達する。
東京都も2800床を確保すべく都内の医療機関に増床を要請し、すでに2400床を確保するなど急ピッチで医療体制を増強する。契約期間満了で不足に陥った宿泊療養用のホテルも2千室超を確保した。
病床確保はすでに入院している患者の転院の手配や医師や看護師の配置換えなど一定程度の準備期間が必要だ。22日の東京都のモニタリング会議でも出席した杏林大医学部の山口芳裕教授から「入院の調整が非常に困難になっている」と苦言が呈された。4連休で都市部から医療体制が脆弱な地方への感染拡大も懸念されるだけに、医療体制の増強が急務となっている。

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