米中、在外公館巡り応酬 トランプ氏「追加閉鎖も」
【北京=羽田野主、ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は22日の記者会見で、米国内にある中国の在外公館の追加閉鎖が「いつでもあり得る」と語った。中国は対抗措置をとる構えで、米国の在中国総領事館の閉鎖などが選択肢にあるもよう。米中で報復合戦が激しくなる恐れがでてきた。
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米国は21日付で南部テキサス州ヒューストンの総領事館の3日以内の閉鎖を求めた。
香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは23日、中国政府が四川省成都市の米総領事館の閉鎖を命じる検討をしていると報じた。成都の米総領事館は2012年当時、習近平(シー・ジンピン)氏に対抗しようとしたとされる重慶市トップの薄熙来氏の腹心が逃げ込む舞台となった。敏感なチベット情勢の分析も手がけている。
中国国営の新華社は習近平国家主席が22日、米国の支援を受けた国民党と共産党が戦った国共内戦を展示している吉林省の「四平戦役記念館」を訪れ、「9000万人あまりの党員とその幹部は共産党史をしっかりと学ぶべきだ」と話したと伝えた。習氏は1950年に人民解放軍らで編成した志願軍を朝鮮半島に派兵し米軍中心の国連軍を押し返した「抗米援朝」にも言及した。米中対立が深まる中で一切譲らぬ構えをみせた可能性がある。
領事館は在外公館のひとつで、相手国政府の首都に大使館を置くのに対して、領事館はそのほかの主要都市に設けるのが一般的だ。在外自国民の保護などを担う。
中国本土で米国は湖北省武漢市や上海市、広東省広州市、遼寧省瀋陽市にも総領事館を置いている。香港などに高度な自治を認める「一国二制度」のもと香港・マカオ総領事館もある。中国は米国内にヒューストンのほかニューヨークなど5カ所の総領事館を置いている。
保守的な論調で知られる中国共産党系メディアの環球時報は23日付の社説で「米国の香港・マカオ総領事館には数千人の外交官と職員がいる」と指摘した。閉鎖をちらつかせ米政府をけん制したものとみられる。