知財窃盗の「震源地」か 米、閉鎖の中国領事館
【ワシントン=共同】米政府が閉鎖を要求した南部テキサス州ヒューストンの中国総領事館について、スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は中国軍による知的財産窃盗の「震源地」となっていたとの認識を明らかにした。ニューヨーク・タイムズ紙が22日伝えた。訪欧中のポンペオ国務長官も中国の知財窃盗を「これ以上許さない」と語った。
スティルウェル氏は、中国の窃盗行為がここ半年間で増えていると述べ、新型コロナウイルスのワクチン開発競争とも関係している可能性があるとの見方を示した。
中国外務省の汪文斌副報道局長は23日の記者会見で「米国は完全に悪意に基づいて(中国を)おとしめている」と反発。必要な対抗措置を取ると改めて強調した。
スティルウェル氏は中国のヒューストン総領事と2人の外交官が最近、ヒューストンの空港で中国人の訪問者を迎える際に偽の身分証を使ったことが確認されたとも明かし、同総領事館は米国に対する「破壊活動に長く関与してきた」と指摘した。
ビーガン国務副長官は上院外交委員会で証言し、中国政府が留学生を利用して知財窃盗を行っていることと、同総領事館の外交官の行動が「外交の基準と相いれない」ことを閉鎖理由に挙げ、詳細は非公開の場で議会側に説明するとした。
共和党のルビオ上院議員はツイッターで「ヒューストンの総領事館は外交施設ではない。共産党の米国でのスパイ拠点だ」と主張した。
米当局は21日、中国政府から請け負って日米など各国から医薬品や国防情報などを盗んだとして、中国人ハッカー2人の起訴を発表したばかり。