韓国GDP3.3%減 4~6月、通貨危機以来の下げ幅

【ソウル=細川幸太郎】韓国銀行(中央銀行)が23日発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP、速報値)は物価の変動を除いた実質ベースで前期比3.3%減となった。新型コロナウイルスの感染拡大で輸出が大きく落ち込んだ。マイナス幅は1998年のアジア通貨危機以降で最大となった。
項目別では、輸出が16.6%減と1963年以降で過去最大の落ち込みを記録した。自動車や石化製品の落ち込みが激しかった。米国など主要市場の都市封鎖で自動車販売がストップしたほか、海外の自動車工場の生産停止の余波で自動車部品の輸出も落ち込んだ。主要品目の中では、比較的好調な半導体以外は総崩れの様相だ。
半導体や自動車、造船、鉄鋼などを主要産業に持つ韓国はGDPに占める輸出の割合が4割程度と大きい。輸出の大幅な減少がGDP成長率を押し下げた。設備投資は2.9%減、建設投資は1.3%減となった。
一方で消費は1.4%増と回復に転じた。全国民対象の政府の「緊急災難支援金」(4人世帯で約9万円)の支給が5月中旬から始まり、民間消費を押し上げた。支援金は8月末までの有効期限があるため貯金に回りにくく、外食需要のほか家電、高級食材の売れ行きが堅調だった。
4~6月期の3.3%減は、1~3月期の1.3%減からさらに悪化した。韓国政府の事前予想(2%台半ばの減少)を下回った。
23日の新型コロナ対策の経済閣僚会議で、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は「前例ない世界経済のシャットダウンによる景気後退の影響を避けることができなかった」と言及。「感染症が落ち着く第3四半期には、中国のような景気反発も可能になる」とやや楽観的な見通しを示した。