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テスラ、中国EV市場で躍進 4~6月も最終黒字

テスラが2019年末に中国・上海市で稼働させたEV工場=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】米テスラが株式市場に強さを再認識させた。新型コロナウイルスの打撃を受けたにもかかわらず、22日発表した2020年4~6月期決算は最終損益が1億400万ドル(約110億円)の黒字を保った。4~6月期に巨額の赤字を見込むライバルに差を付けたのが、世界最大の電気自動車(EV)市場となった中国販売の伸びだ。

「自動車産業が大幅に縮小したにもかかわらず、我々は上昇を続けることができた」。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は22日の電話会見で、株式市場の赤字予想を覆して4四半期連続で最終黒字を達成したことに胸を張った。売上高は前年同期比5%減の60億3600万ドルだった。

他の自動車メーカーへの温暖化ガス排出枠(クレジット)の売却で前年同期比約4倍の4億2800万ドルを計上するなど環境規制の追い風にも助けられたが、想定を上回る業績の底堅さは株式市場を驚かせた。

22日の米国市場の時間外取引でテスラ株は急騰。同社の先行きに楽観的なことで知られる米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏でさえ、米CNBCの番組で「開いた口が塞がらない」と話したほどだ。

米カリフォルニア州にあるEV工場の一時操業停止や欧米での販売不振を補ったのが、いち早く新型コロナの感染拡大局面から抜け出した中国市場だ。調査会社マークラインズによるとテスラの4~6月の中国での販売台数は約3万1000台と前年同期の約3倍に伸びた。期中に顧客に引き渡したテスラ車の3台に1台は中国で売られた計算だ。

テスラは19年末に上海市で年産能力20万台の新工場を稼働させたことで輸入コストを減らすとともに、現地生産する小型車「モデル3」については自動車取得税の減免を受けられるようになった。モデル3の最安グレードの中国での価格は30万元(約460万円)を下回り、ガソリン車メーカーとも競合できる水準になっている。

テスラは中国を含む各地域で実店舗に依存しないオンライン販売に移行している。ウェブサイト上で車種やグレードなどを選べば1分たらずで予約手続きが完了する。納車後も一定条件であれば返品自由としており、店頭での試乗の必要がないことも外出制限下での販売を支えた。

環境・社会・企業統治を重視するESG投資の広がりを追い風に、テスラの株価は過去1年で約6倍に伸びた。22日の終値ベースの時価総額は2951億ドル(約31兆6000億円)となり、自動車業界で世界首位であるばかりでなく、米国企業でもインテルや通信大手のベライゾンを抜いてトップテン入りをうかがう水準となっている。

黒字基調が定着したことで、テスラ株は機関投資家が運用の際に参照するS&P500種株価指数に採用される可能性が高まっている。米国で拡大が続くパッシブ運用の資金が流入して株高が進むという思惑が先行し、個人投資家も巻き込みながら足元の株高に拍車をかけているとの指摘もある。

英調査会社のLMCオートモーティブによると、20年の世界の自動車工場の稼働率は5割を割り込む見込みだ。一般に自動車工場が黒字になるためには7~8割の稼働率が必要とされる。独フォルクスワーゲン(VW)など自動車大手の間では工場の新設計画を撤回したり延期したりする動きが広がる。

一方、環境規制の強化を背景にEV市場の拡大を見込むテスラは、欧州初となるEV工場をドイツのベルリン郊外で建設中だ。同社は22日の決算発表にあわせて、米国で2つ目となるEV工場をテキサス州オースティン市郊外に建設する計画も表明した。19年11月に発表したピックアップトラック型のEV「サイバートラック」などを生産するという。

米中欧の3極でEVを現地生産する体制が整えば、テスラの年産能力は21年中に現在の1.4倍の100万台を突破し、量産車メーカーの仲間入りを果たすことになる。マスク氏は22日の電話会見で「テスラの未来についてかつてないほど楽観的になっている」と話した。新型コロナの逆風は、新旧自動車メーカーの勢いの差を広げる結果になりそうだ。

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