独ワイヤーカード「15年から粉飾」 前CEOを再逮捕

2020/7/23 1:37
保存
共有
印刷
その他

【ベルリン=石川潤】ドイツの検察当局は22日、独ワイヤーカードの旧経営陣3人を2015年から売上高などを水増ししていた疑いで逮捕したと発表した。虚偽の決算情報をもとに、ドイツや日本の銀行や投資家から32億ユーロ(約3900億円)を引き出していた。欧州を代表するフィンテックとされた同社が長年にわたって組織的な粉飾に手を染めていた実態が浮かび上がってきた。

再逮捕されたワイヤーカードのマークス・ブラウン前CEO=ロイター

独検察当局は保釈されていたマークス・ブラウン前最高経営責任者(CEO)を再逮捕したほか、財務などを担当していた元幹部2人を新たに逮捕した。中東の子会社代表の男性も逮捕されており、逮捕者は計4人となる。

検察当局によると、ブラウン前CEOらは15年から、海外取引の収入を偽ることによって、貸借対照表や売上高を膨らませていた疑いがある。実態よりも財務が健全であるように見せかけ、銀行や投資家から多額の資金を調達していたという。

実際には、遅くとも15年末以降はワイヤーカードのビジネスは赤字に陥っていた。今年6月に同社が破産申請したことによって、調達した32億ユーロは失われた可能性が高いというのが独検察当局の見立てだ。

今回の逮捕で浮かび上がったのは、ワイヤーカードの元経営陣が少なくとも5年もの間、粉飾決算を続けていたという実態だ。不正を見抜けなかった独金融当局や会計監査を担当していたアーンスト・アンド・ヤング(EY)に一段と厳しい目が向けられそうだ。

今回の問題は、フィリピンの銀行にあるはずの19億ユーロの現金の存在が確認できなかったことで発覚した。英紙フィナンシャル・タイムズはEYが預金確認を長年怠っていたなどと報じており、監査のあり方を疑問視する声が高まっている。

ドイツの金融当局は再発防止のため、企業への監督を強化していく方針だ。ただ、問題を未然に防げなかったショルツ財務相の責任論も浮上しており、今後の政局の焦点となる可能性がある。

ワイヤーカードの前最高執行責任者(COO)で、今回の不正の中心人物とされるヤン・マルサレク氏は行方をくらましている。事件の全容解明にはなお時間がかかる可能性もある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]