「関西訪日客、盛り返す」 マリオット日本担当に聞く

ホテル世界大手の米マリオット・インターナショナルは22日、日本初進出の高級ホテル「JWマリオット・ホテル奈良」を奈良市に開業した。新型コロナウイルスの影響で今春の開業予定を延期していた。日本でのホテル展開を加速している同社の日本・グアム担当エリア・バイスプレジデント、カール・ハドソン氏に今後の展望を聞いた。
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――コロナ禍での厳しい船出になりました。
「この4連休は客室の半分以上が予約で埋まっている。まずはマリオットグループのホテル会員プログラムに登録しているメンバーが主な対象だ。4連休の顧客も会員が9割を占める。8月のお盆時期までの予約は低調だが、滞在の1週間前まで予約を入れてくる人が多いので、徐々に予約は埋まってくるだろう」
「『Go To トラベル』は日本国内の旅行需要を喚起するのには前向きな刺激になると期待している。東京からの客は対象外だが、日本全体の人口の約9割は東京以外。まずはそこをターゲットに展開していきたい」
――日本初進出先に奈良を選んだ理由は。
「開発パートナーの森トラストと議論を重ね、JWマリオットのブランドが奈良にマッチすると決断した。奈良は日本の古都で日本文化の誕生の地だ。JWマリオットはホテル創設者の名前を冠したホテルで、起源ということで共通点がある」
――関西市場のポテンシャルをどう見ますか。
「関西は今後、成長していくエリアだ。いまはインバウンド(訪日外国人客)の需要が消失しているが、いずれ再び盛り返す。インバウンドは過去10年で1000万人から3000万人へと膨れ上がった。通常最初に日本に来るインバウンド客は東京を訪れるが、40%を占める2回目以降の客が東京以外の地方を目指すこともわかっている」
「9月1日に大阪市にモクシー大阪新梅田を開業する。2021年の早い時期には御堂筋沿いにW(ダブリュー)ホテルの開業も予定。日本はラグジュアリー部門のホテルは他の先進国と比べ、まだまだ足りない。マリオットのラグジュアリーブランドは8つあるが、今後も東京・八重洲にブルガリが開業を予定するなど、22年には世界で唯一、全ラグジュアリーブランドが集結する国になる」
――インバウンド需要が回復するのは、いつごろになると見ていますか。
「ワクチンの開発次第だが21年には少しずつ回復するだろう。だが19年のレベルまで回復するには、やはり22年までかかるのではないか。ただ長期的には日本市場に明るい展望を持っている」
――日本での拡大戦略を修正する可能性は。
「25年までに19ブランドで80軒に増やす予定だが、開発変更や開発スケジュールを遅らせることはない。マリオットグループ全体で1億4000万人がホテル会員プログラムにメンバー登録している。それに魅力を感じている小規模のホテル事業者が、ブランドをマリオットに変える話がいくつも進んでいる」
(聞き手は 岡本憲明)
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