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中国三峡ダム、大雨で水位上昇止まらず 警戒感広がる

(更新)
水位を下げるため放水する三峡ダム(17日、中国湖北省)=ロイター・チャイナデイリー

【上海=松田直樹】6月から断続的に続く大雨で、中国の長江中流にある世界最大級の三峡ダムの水位が上昇している。長江流域では大雨により400以上の河川で洪水が起き、200万人以上が避難するなど被害が拡大している。当局は警戒を強めている。

三峡ダムは長江中流の湖北省宜昌市にあり、2006年5月に完成した世界最大級のダム。水力発電会社として世界でも有数の規模を持つ国営企業の中国長江三峡集団が運営している。

6月から続く大雨の影響で、三峡ダムでは下流域で河川の氾濫などを避けるために貯水量を増やしている。同ダムの制限水位(145メートル)を上回る状況が6月中旬ごろから続いたため、6月末には今年初めて放水を実施した。

その後も断続的に1秒あたり3万立方メートル程度の放水を続けてきたが、7月中旬には同2万立方メートル弱まで減らした。その後も大雨は続き、武漢市などの下流域では浸水や土砂崩れなどの水害が拡大。三峡ダムの貯水量も再び上昇している。

国営新華社によると、18日の午前8時(日本時間同9時)の三峡ダムの入水量は1秒あたり6万1000立方メートルに達し、制限水位を15メートル超上回り貯水量は6月以降で最大を更新した。22日午後4時時点でダムの水位は162.22メートルとなっている。

水利省の担当者はこれまで中国メディアに対し「長江全域の3万カ所で水位を定点観測している。ダムの放水量は常に状況に応じて適切に調節しており、(三峡ダムを含む)長江全てのダムは安全に管理されている」と強調してきた。だが一部メディアでは「大雨が続けばダムが決壊するのでは」との見方も出る。

中国メディアによると水利省は21日「21~23日にかけて中国南西部などで大雨が降る可能性がある。長江および下流域の河川や湖などで水位が上昇する」と警告した。三峡ダムの水位の上昇も予断を許さない状況が続く。気象局は今週に入ってからも大雨が続いているとして、引き続き警戒を呼びかける。

三峡ダムがある湖北省内では日本の自動車メーカーの拠点が集積している。

ホンダは2019年度に中国で生産した137万台のうち同省武漢市の工場で69万台と5割を占める。同社は「販売店含め現時点で影響が出たという情報はない」と説明するが、被害が出た場合、中国事業全体に与えるインパクトは大きい。

ブリヂストンも武漢市に自動車用シートパッドの工場を構えるが、22日午後時点で「設備への影響や部品の物流網の停滞などは起こっていない」としている。長江流域にあたる重慶市にトラックやエンジンの製造拠点を持ついすゞ自動車も影響は出ていない。マツダも長江流域にあたる南京市に完成車工場をもつが、これまでの豪雨などでも生産設備などに影響は出ていない。

各社は新型コロナウイルスの影響で中国の工場の一時停止を余儀なくされた後、4月以降にようやく生産が軌道に乗ってきたばかり。今後、工場の操業に影響が出れば、世界で唯一コロナ前の水準に回復した中国事業の足かせになりかねない。

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