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米、衝突回避探る 国防長官が訪中意欲 不測の事態を懸念

【ワシントン=永沢毅】エスパー米国防長官が21日、年内の中国訪問に意欲を示した。米中対立が先鋭化するなかで、南シナ海などで偶発的な軍同士の衝突のリスクは高まっている。不測の事態を回避する仕組みの構築を探るが、実効性は見通せない。

エスパー国防長官は年内訪中に意欲を示す=AP

エスパー氏は21日の英シンクタンク国際戦略研究所のイベントで「両国に共通する利益のある分野で協力を深め、危機下での意思疎通の仕組みを確立するために年内の訪中を望んでいる」と語った。国防長官の訪中が実現すれば、マティス元国防長官の2018年6月以来となる。

背景には南シナ海を舞台に米中両軍の緊張がかつてなく高まっていることがある。ポンペオ国務長官は7月中旬、南シナ海問題で中国と権益を争う東南アジア諸国への支持を明確にし、従来の中立的な立場を転換して介入を強める姿勢を鮮明にした。

これと相前後し、米中両軍はほぼ同時期に軍事演習を展開した。米軍は17日にロナルド・レーガンとニミッツの原子力空母2隻を中心とする空母打撃群を派遣して再び演習を実施した。これほど短期間で演習を繰り返すのは異例だ。偶発的な衝突のリスクは増している。

中国側もそれは意識している。中国の政府系シンクタンク、中国南海研究院は6月にまとめた報告書で「米中の衝突が起きかねず、防ぐ手立てが必要だ」と警告した。

米中は17年に軍制服組のトップレベルでの意思疎通の枠組みの構築で合意している。ただ、その後にうまく運用が進まなかったもようだ。軍の交流も途絶えがちだ。トランプ政権は18年、米英仏など約20カ国が参加する環太平洋合同演習(リムパック)への中国の招待を取り消した。この演習はほぼ隔年の開催で、14年に中国はオバマ前政権の招きで初めて参加した。

米メディアによると、米は中国の軍事的脅威に対抗するため地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の米領グアムへの配備も検討している。両国の不信の積み重ねは、際限なき軍拡競争を招く懸念がある。

もっとも、米中両国ともこの局面で事を構えることは望んでいない。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は新型コロナウイルスに続く不測の事態で混乱を招くのは避けたいところだ。11月に大統領選を控えるトランプ大統領はなおさらだ。

ただ、両国トップの思惑が必ずしも軍の現場レベルで共有できているわけではない。新型コロナによる混乱のスキをつく形で中国軍は強権的な動きを強めている。米軍事筋には「中国共産党指導部へのアピールのため、人民解放軍の前線部隊が危うい行動に踏み切るリスクはぬぐえない」とみる向きもある。

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