「観客どこまで減らせば…」五輪簡素化に悩む
霧中の五輪(3)

ルポ迫真
2020/7/22 23:00 (2020/7/23 5:14更新)
保存
共有
印刷
その他

グータッチであいさつする小池氏(左)と森氏(6日、都庁)=共同

グータッチであいさつする小池氏(左)と森氏(6日、都庁)=共同

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長、森喜朗は6日、前日の選挙で再選を果たした東京都知事、小池百合子を都庁に訪ねた。面会で2人は「必ず五輪を開催しよう」と励まし合ったが、森はいつになく弱気で国際オリンピック委員会(IOC)への不信感をのぞかせていたという。

五輪の開会式で選手の入場行進をなくせば大幅に費用を圧縮でき、新型コロナウイルスの感染リスクがある密集も避けられる。だがIOCは断固認めない。式の時間が短くなり、中継するテレビ局との契約で違約金が生じてしまうためだ。「なかなか思うように進まない」。小池との面会後、森はため息交じりで記者団にこぼした。

組織委は200以上の項目について大会簡素化の検討、調整を進めているが、総論賛成、各論反対はIOCだけではない。

組織委の競技運営チームが6月、ある競技の国際団体に「選手や関係者の滞在期間を短くできないか」とメールで打診したところ、「大会の簡素化は大賛成。しかし選手たちのトレーニング期間は必要なので短くできない」と返ってきた。

感染対策では「前例も根拠もない」と組織委幹部が頭を痛める。大会時に6万8千席を設ける国立競技場の一般席の幅は45センチ。ソーシャルディスタンスとして推奨される2メートルを確保して5席空けると、観客は単純計算で1万人余しか入れられない。「さすがに非現実的だが、ではどこまで減らせばいいのか……」

都知事選の投開票前に日本経済新聞社が実施した調査では「簡素化して開催」が46%、「今の状況を考えれば中止はやむを得ない」が43%。コロナ禍が社会全体に影を落とすなか、大会への目線も一様ではない。

国内有数の展示場、東京ビッグサイトの一部は大会中のメディア拠点となり、2019年春から21年秋まで他に使用できない。あるシステム開発会社は例年、ビッグサイトのイベントで年間売り上げの4分の1に相当する商談をまとめており、社長は「あまりに五輪優先で納得がいかない」と不満を漏らす。

会場、ホテル、運転手、警備員、ボランティアなど、大会の準備は開催を前提に進めるしかない。組織委幹部は開催可否の判断について「来年3月ごろ」との見方を示す。これに対し別の幹部は「そこまで引きつけて中止となれば影響は計り知れない。年内が期限だろう」と話している。(敬称略)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]