投信の運用回復、道半ば 「REIT型」が出遅れ
投資信託の運用成績はコロナショックによる3月の大底から持ち直し傾向にあるが、「V字回復」を果たしたファンドは一部にとどまる。特に回復が遅れているのは、不動産投資信託(REIT)で運用するタイプの投信だ。
年初来リターン、8割超がマイナス
国内公募の追加型株式投信(ETF、DC・ラップ専用、ブルベア型などを除く)を対象に、各ファンドの年初来リターン(分配金再投資ベース)を調べたところ、6月末時点で8割超がマイナスだった(図A)。全体の96%がマイナスに沈んだ3月末時点より状況は改善しているものの、多くの投信は依然として水面下にある。

マイナス幅の大きさで分けてみると、6月末は1ケタ台のマイナスが全体の約半数にのぼる。10%以上の大幅なマイナスが過半数を占めた3月末と比べると、プラスまでもう一息というファンドが増えてきた。
REIT型が回復に遅れ
回復ペースは投資対象の資産別で違いが生じている。QUICK投信分類平均(同じ分類の投信の値動きを平均化した指数)で主な投資対象別の運用成績を見ると、国内外の「REIT型」投信の戻りが鈍い(図B)。

特に「国内REIT型」は3月までの下げ幅が最も大きく、一時は年初から半値近くまで下落した。6月末にかけて水準を切り上げつつあるものの、他の資産で運用する投信と比べ出遅れている。
反対に回復が早いのは、複数の資産に分散投資する「バランス型」。コロナ禍真っただ中の3月も落ち込みが相対的に小さく、6月末時点では昨年末の約95%の水準まで戻している。落ち込みが激しかった「国内株式型」と「先進国株式型」も順調に回復している。
(QUICK資産運用研究所 西本ゆき)