/

ベラルーシ大統領選、有力候補を排除 独裁体制維持へ

ルカシェンコ氏は26年にわたって君臨し独裁体制を築いてきた(3日、ミンスク)=ロイター

【モスクワ=小川知世】旧ソ連ベラルーシのルカシェンコ大統領(65)が8月9日投票の大統領選で6選を果たす見通しが強まった。有力候補の出馬が軒並み却下され、国内や欧米で反発が広がっている。抗議運動が広がり情勢が不安定化すれば、ベラルーシを巡る欧米とロシアの対立が激しくなる可能性もある。

中央選管は14日、ルカシェンコ氏ら5人の立候補を認めた。有力候補とされた元銀行頭取のババリコ氏の出馬は資金洗浄や外国の支援を理由に認めなかった。元外交官ツェプカロ氏についても立候補に必要な署名の不備を指摘し失格とした。

対立候補の排除を受け、首都ミンスクでは14日の抗議デモに約2000人が参加した。政権は治安部隊を使って抑えこみ、人権団体によると約300人が拘束された。

背景には6選へのルカシェンコ氏の強い危機感がある。同氏は1994年に初代大統領に就任した。26年にわたって反体制派の投獄や大統領の任期制限の撤廃などを進め「欧州最後の独裁者」と呼ばれた。強権的な統治に加え、新型コロナウイルスの脅威を軽視した言動や経済の悪化で、国民の不満が膨らんでいた。

当局は出馬を目指した反体制派のブロガーを5月に拘束。ババリコ氏も6月に拘束したが、反発した有権者による反政権運動は異例の広がりを見せた。ルカシェンコ氏の支持率を3%とするインターネット調査も報じられ、公正な選挙では再選は難しくなっていた。

米欧も反発を強めている。2015年の政治犯釈放を受け、対ベラルーシ制裁を緩和するなど探ってきた関係改善は大統領選で遠のきそうだ。

公平な選挙を訴える抗議デモの参加者を治安機関が次々と拘束した(14日、ミンスク)=AP

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は声明で「国民の意思表示の可能性を制限する」と非難した。米国務省も「公正な選挙が重要だ」との声明を出した。

過去の選挙で独裁体制を擁護してきたロシアとの関係も「前例がない」(ベラルーシの政治専門家)ほど冷え込んだ。

立候補を却下されたババリコ氏が長くトップを務めた銀行はロシア国営資源会社ガスプロムの傘下にある。ルカシェンコ氏は「外国が(大統領選で)干渉している」と述べ、暗にロシアを批判した。同氏が6月に2回訪ロした後も、ロシア側は大統領選での同氏の支持を明言していない。

ベラルーシはロシアから安く調達した資源を再輸出するなど経済、政治両面で対ロ依存が強い。

両国は19年に経済統合を深める合意を目指したが、主権が脅かされると警戒したルカシェンコ氏が反発し、交渉は先送りされた。独立国家共同体(CIS)研究所のウラジミル・ジャリヒン氏は大統領選で「国内の緊張が高まり、ロシアから恩恵を受ける余地も小さくなった」と指摘する。

ベラルーシはロシアにとって欧州との間の地政学的な要衝に位置する。経済が低迷するなか、ルカシェンコ氏が抑え込んだ野党勢力が再び勢いを強めることも考えられる。情勢が大きく不安定化すればロシアが関与に乗り出すことも予想され、欧米とロシアの関係にも影響しそうだ。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン