「リツイート」画像切り取り 最高裁、権利侵害認める

2020/7/21 19:58 (2020/7/21 21:16更新)
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ツイッター社側の敗訴が確定し、同社側は対応を迫られそうだ

ツイッター社側の敗訴が確定し、同社側は対応を迫られそうだ

ツイッターでリツイート(転載)された画像の一部が自動的に切り取られる設定を巡る訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は21日、「著作者の氏名を表示する権利を侵害した」との判断を示した。ツイッター社側の上告を棄却し、メールアドレス開示を命じた二審・知財高裁判決が確定した。

ツイッターなどSNS(交流サイト)では転載は珍しくない。ツイッター社側の敗訴が確定し、同社側は対応を迫られそうだ。ツイッタージャパンは「コメントは差し控える」としている。

判決などによると、問題となった画像はスズランの写真。原告で写真家の男性が自身のホームページに掲載した。第三者がツイッターに無断投稿した後、別のアカウントが転載した際に、画像の隅にあった男性の名前が自動的に切り取られた。

訴訟で男性側は、自分の名前が表示されなくなる権利侵害を受けたと主張。ツイッター社側は「トリミング(切り取り)はリツイートした人物の意図とは無関係。画像をクリックすると調整前のものが表示されるので、権利侵害は認められない」と反論した。

一審・東京地裁は2016年、無断ツイートによる著作権侵害を認定する一方、リツイートでの権利侵害を否定。二審・知財高裁は18年、転載で画像がトリミングされた結果、名前を表示する「著作者人格権」が侵害されたとし、ツイッター社に転載した人物の情報開示を命じた。

同小法廷は21日の判決で、二審判決と同様に権利侵害を認定。利用者が必ずしも常時画像をクリックするとはいえないと指摘し「クリックで元の画像が出てくるだけでは名前を表示したとはいえない」と判断した。5裁判官中4人の多数意見。

一方、林景一裁判官(行政官出身)は「利用者に大きな負担を強いる」として、反対意見を述べた。リツイートをした人物について「元のツイートに掲載された画像を削除したり、表示の仕方を変更したりする余地はなかった」とし「権利侵害の判断を直ちにすることが難しい場合は、リツイート自体を差し控える事態をもたらしかねない」と述べた。

裁判長を務めた戸倉三郎裁判官(裁判官出身)は補足意見で「権利侵害が問題となるのは出所がはっきりせず、無断掲載の恐れがある画像をリツイートする場合に限られる」と強調。その上で「専門的な法律知識が関わるので、利用者の対応だけに委ねるのは相当ではない。情報流通サービスの提供者の社会的責務として、利用者への周知などが期待される」とした。

知的財産に詳しい飯島歩弁護士は「著作者の名誉を守る観点で、氏名が表示されなくなった状態を対象に最高裁が権利侵害を認めたのは理解できる」と指摘。一方、明らかに不適切な画像だと分かるケース以外にも利用者側にリツイートの違法性の見極めを求めると「表現活動が萎縮し、インフラとしてのツイッターの価値が損なわれる可能性がある」と話した。

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