欧州デジタルヘルス企業に群がる投資家の顔ぶれ

CBインサイツ
スタートアップGlobe
コラム(テクノロジー)
2020/7/27 2:00
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CBINSIGHTS
 デジタル革命の大きな波は次にどこに押し寄せるのだろうか。その一つに挙げられるのが、人工知能(AI)などの先端技術と健康医療を融合した「デジタルヘルス」だ。この分野の研究開発をけん引するテック企業への注目度が世界的に高まっている。米国に加えて、近年は欧州に拠点を置くスタートアップへの投資も増えており、2019年は過去最高を記録した。欧州の新興デジタルヘルスケア企業への出資に力を入れる投資家の顔ぶれを紹介する。

投資家のデジタルヘルスへの注目度はここ数年、着実に高まっている。19年だけでも投資件数は1751件、投資額は185億ドルに上った。投資件数の大半はなお米国が占めているが、欧州も勢いを増している。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

欧州に拠点を置くデジタルヘルス分野のスタートアップによる19年の資金調達件数は312件で、調達額は過去最高の26億ドルに達した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で20年の調達額は大きく減っているが、中期段階のスタートアップへの投資の割合は引き続き増えており、投資家は世界でも各地域でも厳選した企業に多額の資金を投じている。

今回のリポートではCBインサイツのデータに基づき、欧州のデジタルヘルス・スタートアップに最も活発に出資している投資家を取り上げる。デジタルヘルスとは、テクノロジーとソフトウエアを主な強みとして活用しているヘルスケア分野の企業と定義する。

欧州で最も活発なデジタルヘルス投資家
(デジタルヘルス企業への投資件数に基づく)

欧州で最も活発なデジタルヘルス投資家
(デジタルヘルス企業への投資件数に基づく)

■主なポイント

・最も活発な投資家は仏BPIフランス

欧州のデジタルヘルス分野で最も活発な投資家は、フランスの公的投資銀行BPIフランス(Bpifrance)だ。仏バイオセレニティ(BioSerenity)や仏ドクトリブ(Doctolib)、仏イプノVR(HypnoVR)など25社に投資している。

2位は20社に出資する独ベンチャーキャピタル(VC)、ハイテク・グルンダーファンツ(High-Tech Grunderfonds)だった。3位は英インキュベーター(起業支援)のアントレプレナー・ファースト(Entrepreneur First)と、独アクセラレーター(育成支援)のスタートアップブートキャンプ・デジタルヘルス(Startupbootcamp Digital Health)がそれぞれ16社で並んだ。

BPIフランスが注目している分野は遠隔モニタリングだ。バイオセレニティや仏ドリーム(Dreem)などインターネット接続機能を搭載した医療機器のスタートアップに出資している。

デジタルヘルス分野で最も資金調達額が多いスタートアップは仏ドクトリブだ。累積資金調達額(公表ベース)は2億6700万ドルに上り、BPIフランスからも出資を受けている。BPIは欧州のトップ投資家からの調達額が最も多いスタートアップ5社に出資している。

・AI診断スタートアップ、複数のトップ投資家を魅了

複数のトップ投資家から出資を受けているスタートアップは、ウエアラブル医療機器メーカーのバイオセレニティ、AIを使って心臓病を診断する仏カーディオログズ(Cardiologs)、ネット接続機能を搭載したインソールを手掛ける仏フィートミー(FeetMe)、AIを使った放射線診断システムを開発する仏グリーマー(Gleamer)、遠隔モニタリングの英マシン・メディシン(Machine Medicine)、病原体を検出する仏パソクエスト(PathoQuest)、ウエアラブル機器メーカーの仏ウィジングズ(Withings)だ。

・フランスは欧州のデジタルヘルスの苗床

フランスは欧州で最もデジタルヘルス分野への投資が盛んな国だ。欧州のデジタルヘルス投資家上位10社のうち、BPIフランス、IDインベスト・パートナーズ、キマ・ベンチャーズの3社がフランスを拠点にしている。複数のトップ投資家から出資を受けている欧州のデジタルヘルス・スタートアップも、英マシン・メディシン以外は全てフランスに拠点を置いている。

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