外食、手探りのコロナ対策 新たな接客・サービス模索

2020/7/24 2:00
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ワタミは6月、東京・蒲田にファミリー向け新業態として焼肉店「上村牧場」を開業した。ホール要員を減らし、回転ずしのようなレーンを使い、料理などを各テーブルへ運ぶ。注文は専用端末を通じて行い、客が店員と会話をすることはほぼない。店内の空気を約4分で入れ替えるよう設計し、家族客は安心して食事に集中できるようにしたという。

「居酒屋だけでは難しい。ファミリー向けやデリバリーなどにも力を入れたい」と話すのは渡辺美樹会長。同社の国内外食事業の既存店売上高は、4月はおよそ9割減った。新型コロナウイルスの感染拡大が居酒屋業界を直撃する中で、新店舗へかかる期待は大きい。大阪府内にも既に出店し、将来的には国内300店体制を目指す。台湾やベトナム、北米といった海外への展開も視野に入れる。

■ビュッフェをワゴンサービスに

品川プリンスホテルは7月15日、ホテル内のレストラン「リュクスダイニング ハプナ」で、ワゴンサービスでの料理提供を始めた。和食や洋食、中華など料理の種類ごと7種類のワゴンにのせて客席を巡回し、シェフやスタッフが各テーブルごとに提供する。シェフが料理の特徴を説明しながらアツアツの状態で提供するなど、ホテルらしいサービスにもこだわった。

ハプナは1994年のオープン以来、累計で約2000万人が訪れた人気のビュッフェサービスの店だったが、感染拡大をうけて3月に営業を休止していた。プリンスホテルの武井久昌専務執行役員は「香港のヤムチャサービスを参考にした」と話す。「取りに行く」スタイルを見直すことで、より安心して食事ができるという。系列他ホテルのレストランにも、このワゴンサービスを拡大する計画だ。新たなビュッフェスタイルの一つとして確立したいと力を込める。

■ロボットがおかわり

ごはんをおかわりする際に、自動で盛り付けてくれる機器「おかわりロボ」を6月から設置し始めたのは、定食店「やよい軒」を展開するプレナス。50~200グラムの好みの量のごはんを、セットした茶わんに入れてくれる。従来は、客自らジャーからしゃもじでごはんをよそうシステムだったが、感染拡大をうけて取りやめた。多数の客が一つのしゃもじを握ったり、過度に接触するのを防ぐためだ。8月中には全国384店舗すべてに導入予定。担当者は「家族連れの子供もドリンクバーのノリで喜んでくれる」と話す。

新型コロナウイルスの感染拡大により、外食業界全体の不振は続いている。日本フードサービス協会によると、5月の外食売上高(全店ベース)は前年同月比32.2%減と、前年を大きく下回った。同協会が調査を始めて以来最低の売上高に終わったという、4月の厳しい状況が依然続いている格好だ。

外食業界に詳しい、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏は「4月の最悪期は脱した」と現状を分析する。持ち帰りサービスへの顧客ニーズが高まる中、そこから客単価向上にいかにつなげるかとした上で「全体としてはやはり厳しい。大手でも今後いよいよ苦しいところが出てくるかもしれない」と予想する。

外食各社が手探りの対策を進めているように、客の方も感染状況をにらみながら利用する機会を探っているのが実情だろう。新型コロナウイルス収束への道筋がなかなか見えてこない中、安全に配慮した接客やサービスを模索する動きが続きそうだ。(近藤康介)

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