コロナワクチン、先頭集団は5品目 最後の臨床試験入り

2020/7/21 17:30
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新型コロナウイルスワクチンの開発は日本国内でも進んでいる(写真は7月、英オックスフォード大学)=AP

新型コロナウイルスワクチンの開発は日本国内でも進んでいる(写真は7月、英オックスフォード大学)=AP

日経バイオテク

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発が、前代未聞のスピードで進められている。世界保健機関(WHO)の調べでは、ワクチンの開発品は約160品目(7月14日時点)。そのうち、7月末までにヒトへの投与を行う臨床試験が始まる開発品は26品目。さらに、有効性を検証するための最終段階の大規模臨床試験である第3相臨床試験に至る開発品は、そのうち5品目にまで増えている(いずれも7月15日時点、日経バイオテク調べ)。

海外勢では、新型コロナウイルスがヒトに感染する際に足がかりとするスパイクたんぱく質の遺伝子をウイルスベクター(運び手)に搭載した英オックフォード大学と英大手製薬アストラゼネカのワクチンを筆頭に、中国製薬の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の不活化ワクチン、中国医薬品販売の国薬控股(シノファーム)の不活化ワクチンが第3相臨床試験入りしている。7月末には、米バイオ製薬モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)を使ったmRNAワクチンと、独バイオ製薬ビオンテックと米製薬大手ファイザーのmRNAワクチンも第3相臨床試験を始める。

■国内企業、2021年春までに複数が臨床試験入り

海外勢に後れを取ってはいるものの、国内勢もワクチン開発を本格化させている。

大阪大発バイオ企業のアンジェスは6月末、開発中のDNAワクチンの第1相・第2相臨床試験を国内で開始した。同ワクチンは、スパイクたんぱく質を抗原とし、非開示のアジュバント(免疫反応を増強させる物質)を添加したものだ。

塩野義製薬は、子会社のUMNファーマ(秋田市)が独自に確立したバキュロウイルス・昆虫細胞を用いた「たんぱく質発現技術(BEVS)」を使って、スパイクたんぱく質を抗原とする組み換えたんぱく質ワクチンを開発中。現在は、いくつかのワクチンについて、共同研究先の国立感染症研究所で動物モデルでの免疫原性(免疫応答を誘発させる能力)の評価を実施中で、20年内の臨床試験入りを目指す。

第一三共は、独自に確立したmRNA医薬の基盤技術を活用し、mRNAワクチンを開発している。同社はかつて、中東呼吸器症候群(MERS)に対してmRNAワクチンを開発していたことがあり(臨床試験は未実施)、その知見を生かして今回もmRNAワクチンの開発を決めた。抗原たんぱく質や薬物送達システム(DDS)、アジュバントを添加するかなどは開示されていないが、既に開発候補品を決定し、今後非臨床試験(動物や試験管内で行う試験)を実施する段階で、21年3月までに臨床試験をスタートさせる方針だ。

明治ホールディングス(HD)傘下のKMバイオロジクス(熊本市)は、日本脳炎やジカ熱などで経験や技術を蓄積してきた不活化ワクチンを開発中。既に、国内で単離された新型コロナウイルスがアフリカミドリザル腎細胞由来細胞(ベロ細胞)でよく増えることを確認済み。現在は培養法、不活化法、精製法などの詳細な検討を進めており、21年3月までに臨床試験入りしたい考えだ。

アイロムグループ子会社のIDファーマ(東京・千代田)は、センダイウイルスベクターに抗原たんぱく質の遺伝子を搭載したワクチンを開発している。同社は過去にエイズウイルス(HIV)を対象に、センダイウイルスベクターを治療用ワクチンとして開発しており、海外で第1相臨床試験を実施した経験もある。現在は、抗原たんぱく質や投与経路などを検討しながら試作ワクチンの免疫原性を評価しているところで、最短で21年3月から臨床試験を開始する意向だ。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年7月21日掲載]

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