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「代表チーム」サッカーの危機 コロナで前途見えず

サッカージャーナリスト 大住良之

7月11日から5日間、今春完成したばかりの「高円宮記念JFA夢フィールド」(千葉市)で男子U-19(19歳以下)日本代表のトレーニングキャンプが行われた。3月に米国で行われた国際親善大会「シービリーブスカップ」に参加したなでしこジャパン以来、これが日本の「代表」チームとしての初めての活動だった。

代表チームとは、一つの国を代表して他国のそれと対戦するチームのことである。当然、国際試合があることが前提となっている。

男子U-19日本代表がいち早く活動を再開したのは、10月にウズベキスタンでU-19アジア選手権が開催されることになっているからだ。来年インドネシアで開催予定のU-20ワールドカップのアジア予選を兼ねる大会。育成強化の面で、なんとしても予選を突破しておきたい大会だ。

オンラインで記者会見する、サッカーU-19日本代表の影山雅永監督=共同

だが、新型コロナウイルスの脅威が去ったわけではなく、日本ではこの2週間で感染者が増大していることもあって、まったく予断を許さない。現在も、世界の多くの国では日本からの渡航を拒否したり、「入国後14日間隔離」などの厳しい防疫措置が取られており、今後どうなるか誰にも予測できない状況だ。ウズベキスタンで無事10月に大会が開催されても、日本代表が大幅な制限をつけられる恐れは十分ある。

「国際試合の不確実性」は、現在の世界に共通する重大な問題だ。新型コロナの脅威が世界に広がったとき、国際サッカー連盟(FIFA)は、「何よりも国内サッカーの再建を優先する」という方針を決めた。今年予定されていたすべての世界大会(女子のU-20やU-17のワールドカップなど)は延期され、3月と6月に予定されていた国際試合を中止した。6月から7月にかけて行われるはずだった欧州サッカー連盟(UEFA)と南米サッカー連盟(CONMEBOL)の地域選手権は、1年間延期された。

6月25日、オンラインで開かれたFIFAのカウンシル(理事会に相当)では、来年までの代表チームの国際試合の日程をどうするかが協議され、地域連盟ごとに代表戦の再開日程を決定した。それによれば、欧州では9月に代表戦(欧州ネーションズリーグ予選)がスタートするが、アジアや南米では9月に予定されていた代表日程がなくなり、10月からの再開となった。

アジアでは6月に終了予定だったワールドカップの2次予選が延期となっており、その4節分が10月と11月に2節ずつ行われる。日本代表の日程では、10月8日にミャンマー戦、13日にモンゴル戦、11月12日にタジキスタン戦、17日にキルギス戦が入っている。モンゴル戦以外はホーム開催である。

日本が入るF組は、日本だけが4試合を残し、他の4チームは残り3試合。これまで4連勝で勝ち点12の日本に対し、キルギスとタジキスタンがともに2勝1分け2敗の勝ち点7で並んでいるが、日本がミャンマーとモンゴルに連勝すれば他の試合結果にかかわらず首位突破が決まる。来年3月にスタート予定となった3次予選(最終予選)への進出はすでに確定的といってよいが、この4試合を無事終えることが前提となる。

現時点では、ミャンマーは日本への「上陸拒否国」にはなっていないが、シンガポール、タイ、マレーシアなど「上陸拒否」の対象国を経由しての入国はできない。仮にミャンマーが直行便で来日して無事試合ができても、「感染流行国」の日本から帰国して10月13日のキルギス戦に臨むことが難しくなる恐れは十分ある。

モンゴルでは、現在、外国からの全航空便の発着を禁止しており、その措置は現時点では7月31日までではあるが、モンゴル航空によれば8月も欠航になる可能性が高いという。日本がモンゴルに行けない可能性も十分考えられるのだ。またモンゴル代表自体は10月8日にはタジキスタンとのアウェーゲームをこなし、戻って日本を迎えるというスケジュールだが、予定どおり試合ができるのだろうか。

FIFAもアジア・サッカー連盟(AFC)もコロナウイルスが収束に向かうだろうとの希望的観測で10月からのスケジュールを立てたのだが、ここにきて再び日本を含む世界各地で感染が拡大しており、どうなるかまったくわからない状況になってしまった。

FC東京―川崎戦の視察に訪れた日本代表の森保一監督。今年に入って一度も活動していない代表のチーム状態が気になる=共同

日本代表のチーム状態も気になる。今年に入って一度も活動していない日本代表。通常なら、10月5日に集合し、8日と13日の試合に備えるという形だが、Jリーグは10月10日に第21節、14日に第22節を予定しており、各クラブの理解を得ての招集ということになる。欧州のクラブでプレーしている選手たちも、FIFAのルール上では招集は可能なはずだが、日本に帰国しても検疫期間が必要となれば招集は難しいだろう。欧州に戻るときにも状況は変わらない。

各国の国内リーグは無観客など大幅な制限つきで再開されている。クラブの国際大会も、本来ホームアンドアウェーのところを1国で集中開催するなどの方法での再開が見込まれている。しかし代表チームのサッカーは、世界がまだ半ば「鎖国状態」にあるなかで、スケジュールは決まっているが、実際には見通しがつかない状況にあるのだ。

代表戦ができなければワールドカップ予選も進まない。FIFAは新しい代表活動日程を決めるなかで2022年ワールドカップ・カタール大会(11月開幕)の予選終了を同じ年の3月から6月に遅らせたが、それも厳しい状況になり、ワールドカップ自体に影響を及ぼす恐れも多分にある。

国内のサッカー、クラブの国際大会とは違った難しさをもつ代表のサッカー。数カ月先も不透明ななかで、非常に危うい状況にあるのは間違いない。

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