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EU、コロナ復興基金案で合意 共通債券を原資に

(更新)
記者会見後、笑顔で撮影に応じたミシェルEU大統領(右)とフォンデアライエン欧州委員長(21日、ブリュッセル)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の首脳会議は21日早朝(日本時間同日午後)、7500億ユーロ(約92兆円)の復興基金案で合意して閉幕した。全体の規模を維持する一方、財政規律派に配慮して補助金と融資の比率を修正した。首脳による足かけ5日に及ぶ対面協議の末、何とかEUの結束を示した。

新型コロナウイルスによる被害の大きいイタリアやスペインなど南欧を中心に支援する。環境やデジタルといった有望分野に投資し、景気回復を実現するとともに次世代型経済への転換につなげる狙い。基金の原資はEUの欧州委員会が債券を発行して全額を市場から調達する。EUが大規模な債務の共有化に踏み込むのは初めてで、財政統合が進む可能性がある。

復興基金はEUの2021~27年の中期予算案に組み込まれる。欧州議会の同意を得た上で、来年から資金が各国に配分される予定だ。マクロン仏大統領はツイッターで「欧州にとって歴史的な日だ」と称賛した。

ミシェルEU大統領は閉幕後の記者会見で今回の合意が欧州の将来にとって「極めて重要な瞬間とみなされるだろう」と強調した。

当初のEU案は仏独の提案をもとにまとめられ、内訳を5千億ユーロを返済不要の補助金、2500億ユーロを返済が必要な融資とした。だが財政規律を重視する「倹約4カ国」(オランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデン)は自国の負担増を嫌って反対。返済なしではモラルハザードを起こすとして融資を主体にすべきだと主張した。

首脳会議の議長役のミシェル氏は20日、補助金を引き下げて3900億ユーロに、融資を引き上げて3600億ユーロとする新たな案を加盟国に示した。さらに倹約4カ国に、EU予算に拠出した分担金を払い戻す「リベート」の金額の積み増しを提案。その結果、気候変動対策や技術革新などに割り当てられるはずだった分は削られた。

ほかにも、供与された資金が適切に使われていない場合、加盟国が首脳会議でその問題を提起できる仕組みや、EUが重視する「法の支配」が徹底されていないと判断されれば、必要な手続きを経て拠出を止められる制度を設けるとみられる。

17日に開幕した首脳会議は新型コロナの感染拡大以降、初めて対面形式で開き、予定していた2日間の会期を大幅に延長した。EUでは新型コロナによる死者数が14万人に近づく。EUの欧州委員会の予測では、新型コロナの影響でユーロ圏の20年の実質成長率は前年から8.7%落ち込む。

合意できなければEUの結束が揺らいでいると内外に示すことになりかねず、EUの団結を示し、景気のさらなる下振れを避けるため、各国の首脳は夏休み前に最終的に歩み寄った。

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