東京五輪の再延期に否定的 IOC委員、開会式縮小支持
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国際オリンピック委員会(IOC)で最古参のディック・パウンド委員(78)=カナダ=が20日、共同通信の電話取材に応じ、新型コロナウイルス感染拡大で来年夏に延期された東京五輪について「2021年開催が残された唯一のチャンス」と述べ、再延期や24年パリ大会と28年ロサンゼルス大会を4年ずつ繰り下げる選択肢に否定的な見解を示した。
弁護士でもあるパウンド氏はIOCと大会組織委員会で検討を進める大会の簡素化に関し「効率的な運営の五輪モデル」として開閉会式の規模縮小や観客削減を支持。「象徴的な開会式は全体の価値を落とさず規模を落とす方法はある」と語った。一方で観客削減は渡航制限にも左右されるとし「日本の観客のみで実施するのは五輪の本質でない」とも指摘した。
五輪開催是非の判断期限には「週単位、月単位でコロナの状況に適応する必要があり、現時点で答えるのは困難。IOCと組織委が科学的な根拠に基づいて合同で決議する」と明言を避けた。
また来年の東京五輪が仮に中止となった場合、約半年後に予定される22年北京冬季五輪も開催が困難になるとの見解を示し、新型コロナ拡大や香港情勢、人権を巡って米国と対立する中国の政治問題を背景にボイコットへの懸念も表明した。
パウンド氏は世界反ドーピング機関(WADA)の元委員長で、ロシア陸上界の組織的なドーピング問題を調査したWADA第三者委員会の責任者を務めたこともある。〔共同〕