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専門人材オンライン副業 中国地方の中小、首都圏から

鳥取市のえびす本郷はオンラインで副業人材の活用を進めている

中国地方の企業がテレビ会議を活用し、首都圏の専門人材を「副業」で受け入れる動きがじわり広がっている。IT(情報技術)の活用といったピンポイントな課題にプロ目線で対応してもらえるほか、オンラインでやりとりできる手軽さが背景にある。新型コロナウイルス影響でリモートワークが広がっていることも、遠隔地の人材を活用するきっかけになっている。

菓子や乳製品などの卸売りを手掛けるえびす本郷(鳥取市)は、今春から副業人材の受け入れを始めた。週1回のテレビ会議に出席するのは東京都内の大手広告代理店でデジタルマーケティングを手掛ける井須弘恵さんだ。

同社は新型コロナの流行を受けて、対面での営業がこの先厳しくなると見据えていた。電子商取引(EC)サイトや自社サイトにおける販売戦略のテコ入れが喫緊の課題だが、デジタルを活用したマーケティングのノウハウは不足している。管理本部の鳥飼弘志課長は「人材を育成するのにも時間がかかる」と話し、セミナーで知った副業人材の活用に乗り出した。

井須さんにはECサイトでの販売戦略の立案や、自社サイトの使い勝手の向上などをサポートしてもらっている。井須さんは「販売チャネルごとによって顧客層も異なる。一つずつ整理しながら戦略を議論している」と話す。

新型コロナの感染拡大で井須さんは2月末から在宅勤務が続いており、「自分の時間が管理しやすくなった」。山陰地方にゆかりはないものの「スキルを眠らせずにもっと発揮したい」との思いからオンラインでの副業を始めた。鳥飼課長は「通販部門の売上高も伸びている。何より社員の意識や行動が変わってきた」と成果を実感している。

採用マーケティングの分野で副業者を活用するのは金属製品加工の共美工業(山口県宇部市)だ。大手人材会社で採用や人事関連のコンサルティングを手掛けてきた末冨雅之さんを4月に受け入れた。どの媒体に広告を出すかといった議論だけでなく、中長期の経営計画に見合った採用戦略そのものの立案を支援している。電話やテレビ会議でのやりとりが主だという。

同社の山田高大社長は「会社の方向性を第三者と話し合い、採用戦略にそのまま落とし込めるのはありがたい」と話す。足元では新型コロナの影響もあり、業況は厳しくなりつつある。将来を見据えた中核人材の採用に本腰を入れるため、副業人材が経営者の右腕になろうとしている。

両社と専門人材を副業という形で仲介したのは山口フィナンシャルグループ傘下の人材紹介会社、YMキャリア(山口県下関市)。人材サービスのスキルシフト(東京・港)が持つデータベースを活用し、マッチングを進めている。

松浦裕志社長は「新型コロナの流行を機に、オンラインで副業者を受け入れる企業が増えつつある」と話す。対面での営業や販売における制約をカバーしようと、デジタルシフトを支援してくれる専門人材を求める案件が特に多いという。同社では4~6月で副業人材を42人紹介、12人が成約まで結びついた。6月の相談件数は30件と、前月の3倍に増えた。

主に週1度の副業者の活用で企業にかかる費用は月3万~5万円と、専門人材を採用するより手ごろだ。山口FG傘下の地銀と取引がなくてもサービスを利用できる点も、引き合いが強まる追い風となっている。

新型コロナの感染拡大による遠隔勤務の浸透は、地方と都市圏の境界が薄れることにもつながっている。コロナ収束後の地方企業の事業立て直しに、遠隔地の副業人材が一役を買いそうだ。

(田口翔一朗)

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