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「Go To」、東京外しで宿泊取り消しも 伊勢や高山

政府の観光振興策「Go To トラベル」が22日に始まる。新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にあるため、東京都への旅行と都民は当面対象外となった。中部の観光業界では内需のカンフル剤として期待されていただけに、落胆や戸惑いが広がっている。

高速バスは便数が徐々に戻りつつあるが・・・(名古屋市中村区の名鉄バスセンター)

観光旅館、伊勢かぐらばリゾート(三重県伊勢市)では、ここ数日間で40件ほどのキャンセルが出た。客室の稼働率が6月は2割、7月に入り6割まで戻ってきた矢先、出ばなをくじかれた。「東京発の旅行が『Go To』の対象外になり、感染者が増えていることも響いた」と大橋信支配人。「高齢者の団体客が戻らず、平日の稼働率は低いまま」という。

「Go To」をめぐっては、もともと割引とクーポンの2階建て補助がわかりにくいとの指摘があった。実施時期の前倒しに加え、「東京外し」に伴うキャンセル料を負担するかどうかで政府の見解が揺れたことも事業者、利用者双方の混乱に拍車をかけた。

伊勢旅館組合の篠崎元宏組合長は「伊勢市では宿泊客の半分以上が関東圏から。東京の除外は痛い」と話す。創業200年の老舗旅館・麻吉旅館(同)の経営者は「『Go To』関連の問い合わせが相次いでいるが、(政府から)詳細の発表がなく事業者側も困惑している」という。

岐阜県では下呂市などを襲った豪雨の影響も残っている。「8月の予約数が前年同月比で6割ほど」と打ち明けるのは、岐阜県高山市の旅館「本陣平野屋」の担当者だ。豪雨に伴う交通アクセスへの懸念などから7月上旬は宿泊キャンセルが目立っている。

名古屋市は東京方面から岐阜、三重に向かう観光客の宿泊拠点となるケースが多い。ヒルトン名古屋(名古屋市)は「東京在住の予約客からキャンセルの連絡があった」という。名古屋マリオットアソシアホテルは6月の客室稼働率が26%弱と、前年同月に比べ50ポイントほど低い。訪日外国人(インバウンド)や企業の出張需要が細ったままで、回復の糸口が見えてこない。

愛知県では、業界団体を通じた旅行会社などへの事業の説明は25日の予定だ。国土交通相が先週、高齢者や大人数の宴会を伴うツアーの自粛を求めたこともあり、老人クラブや町内会向けなどの旅行商品を扱うアイ・ツーリスト(同)では、団体客らのキャンセルが相次いだ。

旅行会社トラベルコンシェルジュ(同)の後藤充弘社長は「自社が事業の対象に入るかわからず(顧客に)不信感を与えてしまっているのが残念だ」と話す。

需要創出、中部3県で1600億円 民間試算


 混乱の広がる観光支援策「Go To トラベル」も、事業を適切に運用できれば経済の押し上げ効果は大きい。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、「Go To」の需要創出効果は全国で最大2.8兆円と試算する。
 宿泊統計の愛知、岐阜、三重県の全国シェア(3県合計で6%)を考慮すれば「中部3県でおよそ1600億円以上の効果がある」(永浜氏)。中部経済連合会の水野明久会長は20日、「経済再開に需要喚起の政策は不可欠だ。観光産業を支える糸口にしていきたい」と述べた。
 愛知でも感染者が増えている。大村秀章知事は20日の記者会見で「(Go To)はまずは近隣、近場から徐々に広げていけばいい。時期をずらしてでも長くやってもらいたい」と述べた。名古屋市の河村たかし市長も「(市内では)2週間で74人が感染している。相当注意しないといけない憂慮される事態だ」と危機感を示した。

(湯浅兼輔)

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