ガスパビリオン、背水の自家発電(古今東西万博考)
1970年・大阪

2020/7/21 2:00
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日本の熱電併給の先駆けとなったガスパビリオン=大阪ガス提供

日本の熱電併給の先駆けとなったガスパビリオン=大阪ガス提供

「人類の進歩と調和」を統一テーマとした1970年の大阪万博で、異彩を放っていたのが日本ガス協会出展のガスパビリオンだ。そのユーモラスな外観通り、テーマは「笑いの世界」。科学文明の進歩で忘れられがちな人間性を笑いで取り戻そうという提案だったが、目に見えないところで技術革新にも挑んでいた。

エスカレーターや照明、空調など館内で使うエネルギーを全てガスで賄った。地元企業として建設・運営を推進した大阪ガスによれば「建物全体のエネルギーをガスのみで供給したという点では、日本初の熱電併給(コージェネレーション)」。地下の機械室にある大型ガスエンジン4台で発電し、廃熱を空調に利用した。

社内報の座談会に出席した関係者によれば、「停電したらおしまい」。万博会場内で唯一の自家発電館であり、バックアップ用としても関西電力からの供給を受けていなかった。背水の陣であり、会期中の6カ月間、関係者は「笑い」とは裏腹の緊張を強いられた。

ガスのみだと廃熱が余ってコスト高になりやすいため、大ガスが商業ベースでコージェネ第1号機を導入したのは82年だった。以後、電力会社からの電力との併用などが進み、同社のコージェネの発電容量は現在、稼働ベースで150万キロワットを超え、原子力発電所1基分に相当するようになった。ガスエンジンの発電効率は70年の大阪万博当時で20%程度だったが、現在は50%強の製品も登場している。

電力会社との競争激化などで2000年代初頭から大ガスのコージェネは伸び悩んでいたが、最近は災害時を想定した事業継続計画の一環で導入する企業が増えている。

(塩田宏之)

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