紙・板紙の1~6月国内出荷、コロナで前年比10%減

2020/7/20 19:05
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国内の紙需要の減少に歯止めがかからない。日本製紙連合会(東京・中央、製紙連)が20日に発表した2020年上半期(1~6月)の紙・板紙の国内出荷量(速報値)は1063万トンで、前年同期を10%下回った。デジタル化の進展で従来から減っていたところに新型コロナウイルスの感染拡大で企業の在宅勤務が広がり、印刷用紙などの需要縮小が加速した。

1~6月の紙・板紙の国内出荷は前年を約10%下回った(国内の印刷用紙工場)

「在宅勤務は徐々に解除されつつあるが、本格的な戻りはまだ分からない」。記者会見した製紙連の野沢徹会長(日本製紙社長)は今後の国内需要の見通しについて、こう述べた。経済活動の停滞でチラシなどの需要回復も遠い。「冬の時代」はまだ続きそうだ。

約3割を占める「印刷・情報用紙」の1~6月出荷量は20%減の278万トンだった。パンフレットやチラシに使う「塗工紙」が25%減の141万トンと大幅に落ち込んだ。コロナでイベント中止が続き、折り込みチラシが減ったことが大きい。

企業の在宅勤務が急速に普及したため職場で多く消費されていたコピー用紙の需要も減り「情報用紙」の出荷量は13%減の59万トンとなった。

需要が伸びるとみられていた2つの要因も出荷を押し上げる効果は弱かった。1つはトイレットペーパーなどの「衛生用紙」で、一時は買いだめが広がっていた。確かに1~6月の「衛生用紙」の出荷量は92万トンと3%増えたが、ここ2カ月は需要が一巡し、連続で減っている。野沢会長は「5月と6月は特需の反動が来て落ち込んでいる」と述べた。訪日客が激減したことを背景に、ホテルなど向けの衛生用紙も需要が戻っていない。

2つ目は外出自粛の影響で伸びると期待されていた通販などに使う「段ボール原紙」だ。通販や宅配向けの需要は活発だったが、自動車などの工場が休止し、出荷が減った影響の方が大きかった。結果的に段ボール原紙の出荷量は5%減の427万トンとなっている。

6月単月でみた紙・板紙の国内出荷量は前年同月比15%減の163万トンと、11カ月連続で減少した。国内の需要回復が見通せない中で、今後の活路はどこにあるのか。

1つの選択肢は東南アジア市場だ。製紙各社は内需の減少を見据え、東南アジアでの拠点確保に動いていた。王子ホールディングスレンゴーなどは段ボール原紙の製造拠点を拡充している。

一方で、世界生産の約3割を占める中国メーカーも着々と東南アジアでの投資を拡大している。中国政府による古紙の輸入制限で原料高となることを見越した動きだ。野沢会長は今後の国際動向について「世界全体でみて成長市場である東南アジアに集中していく流れになる」と予想する。

日本企業は企業買収など東南アジア市場の開拓で国内市場の縮小を補う戦略をとってきた。海外でさらに競争が激しくなれば、業績への影響も避けられない。新たな業界再編の機運も高まってきそうだ。

(魚山裕慈)

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