「10万円」を忘れずに 給付金22日から順次締め切り
知っ得・お金のトリセツ(18)

お金のトリセツ
コラム
2020/7/21 2:00
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特別定額給付金の申請締め切りは自治体ごとにバラバラだ

特別定額給付金の申請締め切りは自治体ごとにバラバラだ

「10万円」の期限が迫りつつある。例の新型コロナウイルス対応の緊急経済対策として1人当たり一律10万円を支給する特別定額給付金の申請期限だ。当初案の収入減世帯への30万円給付が変更された迷走ぶりに加え、欧米のように素早く自動的に届ける「プッシュ型」でないことが問題視されたことでも明らかなように、入金はあくまで申請ベース。正式に自治体に手続きしないと、待っていてももらえない。7月15日時点の給付済みの世帯数は約5272万世帯。対象5853万世帯の9割を超えたが、逆にまだ受け取っていない世帯も581万世帯存在する。

■581万世帯は締め切りの把握を

開始直後の自治体窓口の混乱に配慮して申請時期を遅らせた人もいるだろう。世帯主にマイナンバーカードを取らせてからオンライン申請を画策した自分も実はまだ申請していない。そしてカードは依然届かない。手元に届くまで発行に1カ月半はかかるマイナンバーカードを待つうちに「あれれ?」と期限を過ぎないよう気を引き締める毎日だ。

締め切り日は全1741市区町村ごとにバラバラだ。基本は「郵送方式による申請受け付け開始から3カ月以内」だが、起算日を発送当日にするところもあれば手元に届くまで2~3日の猶予込みで設定するところもある。締め切り日の方も郵送の場合、必着か消印有効かで分かれる。ギリギリになることが想定されるならあらかじめ確認しておこう。

■最速22日~「最遅」9月中旬

早くも22日には2つの自治体が申請を締め切る。以後、7月末にかけて50~60規模の自治体が漸次、締め切って8月中旬には締め切りピークを迎える。かと思うと京都市や相模原市のように9月15日と締め切りが遅い団体もある。それでもちなみに前回、09年の定額給付金の際に給付率が9割を超えたのは補正予算成立から5カ月後だったことを考えるとおよそ2カ月は短縮されたといえる。

■高まる家計の消費意欲

既に給付金を手にした9割の家計では「巣ごもり対応」を中心に消費意欲が高まっている。「リモートワークだと足がパンパンにむくんで……」。東京都の女性会社員はマッサージ機に20万円を奮発した。向こう半年間の消費者心理を表す消費者態度指数は水準こそ低いものの、6月調査の改善幅は4.4ポイントと比較可能な2004年以来最大だった。背景に給付金が入った家計の一時的なゆとりが垣間見える。

まず4~5月には緊急事態宣言下でいや応なく消費が急減した。家計調査によると2人以上の世帯の消費支出は4月11%減、5月16%減と2カ月連続2ケタ減少し過去最大の落ち込みを記録した。巣ごもり用食材や保健医療品への出費は増えたが、外食や教養娯楽費など「不要不急の出費」がほぼ蒸発したためだ。

■消費のマグマはどこへ? 結局、貯蓄?

そこに加わったのが10万円の給付金だ。この手の収入は家計調査では「特別収入」の項目に仕分けられるが、5月の勤労者世帯の特別収入は4万円弱と1年前の5倍に膨らんだ。給与も合算した5月の2人以上勤労者世帯の実収入は50万2403円。物価変動を除いた実質で前年同月から1割近く増え、増加幅は過去最大だった。この収入と支出のギャップが消費意欲のマグマとして家計にたまっている。6月、7月も基本的には同傾向だ。

たまった家計のマグマはどこへ向かうのか――? 本来であれば、22日から始まる「Go To トラベル」による補助を活用し、国内旅行への消費が盛り上がるはずだった。

例えば一家4人が給付金40万円を2泊3日で1人10万円の旅行パックに充当する場合。1人1泊2万円を上限に出る補助の合計額は16万円。ただしうち7割は旅行代金の割引、3割は旅行先で使えるクーポンの形で支払われるがクーポンの準備が整うのは9月から。それまでは7割分の旅行代金の割引のみが有効だ。すなわち11万2000円が割り引かれ、必要な支払い額は28万8000円となる。お得感は大きく財布のひもが一段と緩む仕組みだった。ところが最悪のタイミングでコロナ感染が再拡大し、「東京抜き」のGo Toとなってしまった。

前回の定額給付金は1万2000円のうち25%分、3000円しか消費に回らず残り9000円は貯蓄に「死蔵」されたため実施した麻生太郎財務相でさえ「あれは失敗だった」と総括する。Go Toで目の当たりにした政府の混乱ぶりに将来不安が募る今、同じ轍(てつ)を踏みそうな予感がする。

山本由里(やまもと・ゆり)


1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。
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