パナソニック、埼玉にラグビー本拠 にぎわい創出期待
ラグビー・トップリーグのパナソニックは2021年8月、本拠地を群馬県太田市から埼玉県熊谷市に移す。19年ラグビーワールドカップ(W杯)の競技会場となった熊谷ラグビー場がある熊谷スポーツ文化公園にクラブハウスや練習場、宿泊施設を新設する計画だ。

「ワイルドナイツ」の愛称を持つパナソニックは稲垣啓太選手らW杯で活躍したメンバーも所属し、トップリーグでも人気チームの一つ。熊谷市はチーム移転を起爆剤とし、地域のにぎわい創出につなげる。
施設整備は埼玉県ラグビー協会が担当する。約3万平方メートルの敷地に35億円を投じ、施設を建設。パナソニックがクラブハウスや屋内運動場を35年間定期賃借する。
目玉の一つは選手だけでなく一般客も利用できる4階建ての宿泊棟だ。247室で収容定員は308人。2階にカプセルホテルを設け、大会や合宿で訪れた学生が低価格で泊まれるようにした。3~4階は海外から来た選手やトップリーグ選手が使える部屋を設ける。
サウナ付きの浴室、チームのミーティングやストレッチができるスペースも設置予定。県ラグビー協会の会長を務める富岡清・熊谷市長は「広く一般の皆さんにも利用してほしい。交流人口も伸びてくる」と地域活性化に期待を寄せる。
チーム側もラグビー教室や小学校でのイベントを通じ、地域との交流を深めたい考えだ。コロナ禍では商工会議所などが製作したポスターに稲垣選手が登場するなど、チームは早くも街の新たな顔になりつつある。
パナソニックの久保田剛企業スポーツセンター所長は「選手がいるだけでわくわくする状況もある。地域の広報活動や祭り、イベントなどで積極的に交流を進めたい」と意欲を示す。専用グラウンドは地域の学生や女子ラグビーチームにも開放する見込みだ。
埼玉県の大野元裕知事は「県や熊谷市、ラグビー協会、パナソニックで拠点を整備する。4者が『ワンチーム』になってラグビー振興や地域活性化に取り組んでいきたい」と意気込む。新本拠地の名前を入れたチーム名も今後決まる予定で、ラグビー熱はさらに高まっていきそうだ。