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男子ゴルフ「開幕」 セルフプレーで無名の若手躍動

編集委員 吉良幸雄

ゴルフパートナー・エキシビションの最終日、笑顔を見せる関藤(右)と植竹=(C)JGTO/JGTOimages・共同

1月の開幕戦、SMBCシンガポールオープンから半年。新型コロナウイルスの影響で男子ゴルフツアーは14試合の中止が決まり、国内開幕は早くても9月初旬で、いまだにめどが立っていない。賞金シード選手65人のうち、ランキング2位のショーン・ノリス(南アフリカ)、4位のチャン・キム(米国)ら、ほぼ半数の31人を占める外国人選手が入国制限を受け、来日できないのがツアー開催の大きなネックになっている。

それでも7月9、10日にはツアー外競技として「JGTO共催ゴルフパートナー・エキシビション」(茨城・取手国際GC、優勝賞金360万円)が行われ、ツアー再開へ向け、一歩前進した。

2年連続賞金王の今平周吾や石川遼らを抑え"開幕戦"に勝ったのは22歳の関藤直熙(せきとう・なおき)だった。2位の和田章太郎、3位タイの植竹勇太は24歳でいずれもノーシードだ。上位4人のうち賞金シード選手は、3位タイで昨年の日本ツアー選手権森ビル杯で初優勝した27歳の堀川未来夢だけ。下部のAbema TVツアーも軒並み中止になっており、戦うことに飢えた無名の若手の活躍が目立った。

関藤、日本とアジアツアーの「二刀流」

プロ4年目の関藤は昨夏の日本プロでツアーデビューしたばかり。ツアーは3戦し、139万円余りを稼いだだけだ。ただ、キャリアは浅いが、アジアツアー下部のアジアデベロップメントツアー(ADT)で昨季は2勝、賞金王に輝いている。アジア転戦では荷物が届かなかったり、ウーバーでタクシーをつかまえるのに3時間かかったりするなどトラブルにも見舞われたそうだが、「苦しいと思ったことはない」という。

昨年12月の国内ツアー最終予選会で11位に入り、今季は日本とアジアツアーの「二刀流」で戦い、若手のホープと目されていた。アジアでは1月の香港オープン、3月のマレーシアオープンで7位に。周囲の期待通り、順調なスタートを切った。

広島県福山市出身。広島国際学院高3年時には、1年後輩で昨年はマスターズ・トーナメントに出場、三井住友VISA太平洋マスターズに優勝した金谷拓実(東北福祉大4年)らとともに高校選手権で全国制覇を果たした。高校卒業後はオーストラリア・ブリスベンにゴルフ留学している。

171センチ、70キロと小柄で、平均飛距離は285~290ヤードとさほどでないが、正確なティーショットとアイアンショットの切れ、小技でスコアメークするタイプだ。ゴルフパートナー・エキシビションでは2日間ボギーなし。首位と3打差の10位でスタートした最終日は9番からアプローチ、アイアンを立て続けにピンに絡め5連続バーディーを奪った。17番(パー4)ではティーショットを初日の3番ウッドからドライバーに持ち替え、第2打を1.5メートルに寄せ自己ベストタイの9アンダー、61をマーク。通算14アンダーとし、混戦を制した。

2日間ボギーなし、通算14アンダーで優勝した関藤=(C)JGTO/JGTOimages・共同

試合のない期間は地元のゴルフ場で練習、レベルアップを図ったという。金谷や隣県・岡山出身で以前から交流のある渋野日向子の世界での活躍は大きな刺激となっている。憧れの人はタイガー・ウッズ。日本、アジアで優勝し、いずれはマスターズに出場する夢を抱く。ツアー優勝者ら国内の実力者が勢ぞろいする大会での優勝は「大きな自信になった」と目を輝かせた。

ツアーで実績のない若手にとっては、コロナ禍で試合が蒸発、収入の道が途絶えるのは痛手だ。関藤と同じく2日間ボギーなしで回りながら1打差で敗れた和田は「こんな状況の中だと、プロゴルファーといえども生活ができないので、開催してくれたことに感謝しかない」と話した。「試合が楽しくて、初日を終えてから夜は寝付けなかった」

日本経済大出身で、16年に下部ツアーで1勝。13年日本ジュニアで優勝するなどアマ時代から活躍したプロ7年生は「今後も試合を開催してくれることを祈るばかりです」。

優勝経験者も持続化給付金を申請

そう願うのは若手ばかりではない。スポンサーから契約金をもらっていても、試合がなければ賞金はゼロで、家族を抱えていればなおさら台所事情は苦しくなる。ツアー優勝経験者のあるベテランも、個人事業主として、最大100万円が支給される持続化給付金を申請したという。緊急事態宣言下に、弁護士や司法書士らが開催した相談会には、女子プロから「日ごろは接待ゴルフ等の収入があったがゼロになった」という声が寄せられた。

ところで、同エキシビションでは出場96選手全員が大会前にPCR検査を受けた(全員が陰性)。また感染リスクを最小限にするため、試合はキャディーをつけずセルフプレー。電動手押しカートを利用する選手が大半だったが、石川遼、宮本勝昌ら6人は自らバッグを担いでラウンドした。誰もが異口同音に「キャディーさんのありがたみがよくわかった」。

自らゴルフバッグを担ぐ石川遼(左)とカートを押す宮里優作=(C)JGTO/JGTOimages・共同

距離測定器の使用が許されていたが、毎ショット、クラブを選んでバッグから出したり、ボールを拭いたり。バンカーをならすのもひと仕事。雨の中のラウンドで地面がぬかるんだところもあり、不慣れなセルフプレーに戸惑った選手は少なくなかったようだ。とはいえ、プレー時間が間延びすることもなく、順調に試合は進んだ。

そこでふと思った。女子だったらどうだろう? ふだんから風の読みから歩測、クラブ選択など帯同キャディーに依存する選手が多いから「プレー渋滞」が発生するのは必至ではないだろうか。コーチやキャディーに頼らず、自分の頭で考え、判断する力を養うためにも一度、セルフプレーの試合を経験するのはいいかもしれない。

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