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半導体TSMC、米中摩擦でも破竹 4~6月最高益

貿易摩擦
ファーウェイ
アジアBiz
2020/7/16 22:00
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TSMCはファーウェイとの取引減少を他の顧客で補えるとみている=TSMC提供

TSMCはファーウェイとの取引減少を他の顧客で補えるとみている=TSMC提供

【台北=中村裕】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が16日発表した2020年4~6月期の決算は、純利益が過去最高を更新した。高機能スマートフォン向けなどが伸びた。通期の売上高見通しも上方修正し、前期比20%増収とした。米中摩擦のなかでも強さを見せつけたが、中国のスマホメーカーとの関係がリスクとして残る。

4~6月期の純利益は1208億台湾ドル(約4400億円)と前年同期に比べ81%増えた。新型コロナウイルスの感染拡大や米中貿易摩擦が過熱した一方、次世代通信規格「5G」対応スマホや、テレワークの拡大で需要が伸びているサーバーなどに使う先端半導体の出荷が膨らんだ。

米国が5月に発表した華為技術(ファーウェイ)への規制強化もプラスに働いた。ファーウェイは先端半導体の生産の多くをTSMCに依存してきたが、9月中旬以降は取引が禁止される。規制を前に在庫の積み上げに動いたとされ、TSMCの出荷急増につながったようだ。

■通期予想、20%増収に上方修正

TSMCは見通しについても強気だ。20年12月期通期の増収率見通しを、新型コロナの影響を勘案して4月にいったん「15~18%増」まで引き下げたが、今回は逆に20%増まで引き上げた。

経営トップの劉徳音董事長は16日の電話会見で、上方修正の理由を「(主要顧客の)ファーウェイには9月15日以降、半導体を供給できなくなるが、他の顧客からの受注が増えている」と説明した。

ファーウェイ向けを巡っては、先端品ではない一般の半導体なら9月中旬以降も出荷ができそうだという指摘が最近、急浮上している。ただ、TSMC幹部は16日の会見で「米規制の定義がはっきりしないうちは、出荷はしない」と話した。

TSMCにとってファーウェイは売上高全体の約15%を占めるとされる。米アップルに次ぐ大口顧客だ。このまま米規制が予定通りに実行されれば、ファーウェイ向けの売上高はなくなる。単純計算で年間6000億円弱に相当する。だが「それでも売上高は落ちない。十分に埋まる」というのが業界内の一致した見方だ。

■「ファーウェイ向け止まっても業績は影響ない」

大手民間シンクタンクの台湾経済研究院で半導体業界を分析する劉佩真氏は「アップルや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など高性能の半導体を求める大手顧客が多く、ファーウェイへの供給が止まっても業績は影響をほぼ受けない」と指摘する。

TSMCの強気の背景には、今後普及が見込まれる5Gスマホ用の最先端の半導体は自社でしか造れないという自負がある。半導体の性能を左右する回路線幅は、実用化されているものでは7ナノ(ナノは10億分の1)メートルが最先端品だ。TSMCは売上高全体の36%を7ナノ製品が占める。

足元では5ナノの量産も始めており、新型iPhoneに搭載される予定だ。中国の同業大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)は14ナノなどを展開する段階で、他社を大きくリードしている。

TSMCとの取引が多い半導体製造装置メーカー大手の蘭ASMLが15日に発表した4~6月期決算も純利益は58%と大幅増を確保した。受注残高も100億ユーロ(約1兆2000億円)以上あることが明らかになり、周辺にも楽観ムードが漂う。

■中国スマホメーカーとの関係がリスク

今後に向けた不安要素といえば中国政府だ。TSMCは米の規制強化に従い、9月中旬以降、ファーウェイとの取引を中止する道を選んだ。中国はそれが不満だ。

世界のスマホ市場に目を移すと年間約13億台のうち、中国メーカーは3~4割を占める。中国側は今後、こうした大きな存在感を利用しかねない。中国スマホ各社が政府と共同歩調をとり、TSMCへの受注につながる発注を他メーカーに切り替えたり、自主開発を加速して「TSMC外し」を強めたりする可能性がある。

半導体生産に関するTSMCの技術力は突出しているため、すぐにはこうした動きは取りづらい。ただ、中国スマホメーカーを敵に回すことは、TSMCの中期的なリスクになりうるとの指摘は少なくない。

投資家はこれまでのところリスクよりも足元の強さを評価しているようだ。最近2週間でも株価は約16%上昇。最高値の更新が続き、時価総額は直近で約3400億ドル(36兆円強)に達した。米市場でも上位10位を伺う地位を得て、同2500億ドル程度で推移する同業大手の米エヌビディアや米インテルを圧倒する。

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