マネーフォワード、上場来高値 赤字縮小で反転期待
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16日の東京株式市場で、家計簿アプリや法人向けクラウドソフトなどを手がけるマネーフォワードが大幅に続伸した。一時前日比860円(12%)高の7900円まで上昇し上場来高値を付けた。15日の取引終了後に2019年12月~20年5月期の連結決算を発表。大幅増収で最終赤字が縮小した内容が今後の黒字化期待につながり、個人投資家を中心に買いが集まった。

終値は310円(4%)高の7350円だった。売上高は前年同期比71%増の52億円となり、最終損益は12億円の赤字(前年同期は17億円の赤字)に縮小した。家計簿アプリの利用者が7月に1050万人を突破し、会計や給与計算などの企業向けソフトも好調だった。成長優先の費用負担による20年11月期通期の27億~36億円の最終赤字予想は据え置いた。
SMBC日興証券の原貴之氏は「新型コロナウイルス禍が業績に好影響をもたらし前向きな驚きだ」と語る。主要顧客の中小企業の経営環境が悪化すれば逆風との見方があったもののオンラインサービスの強みがいき、19年11月に子会社化したクラウドソフト比較情報サービスのスマートキャンプ(東京・港)の利用者数が伸びるなどした。
マネーフォワードは17年上場。開発や販促にかかる先行費用を利用者から定期的に受け取る料金によって回収する事業モデルだ。当初は赤字が先行するが、利用者の基盤が広がれば損益は改善するとみられ、赤字でも買われてきた。「長期投資家は利用者数や売上高の伸びに注目している」(松井証券の窪田朋一郎氏)といい、この持続力が長期的な株高へのカギを握る。