平城宮跡横断の近鉄奈良線、県・市と移設協議へ

2020/7/16 19:26
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朱雀門近くの踏切を通る近鉄電車

朱雀門近くの踏切を通る近鉄電車

世界遺産の平城宮跡を横断する近鉄奈良線の移設を巡り、奈良県、奈良市と近畿日本鉄道は16日、平城宮跡の南側への線路移設に向けた協議に入ることで合意した。移設の対象は大和西大寺―近鉄奈良駅の4.4キロとなる。

同日、国と3者が合同会議を開き、線路移設を前提とする踏切道改良計画をまとめる方向で一致した。これまで線路移設に難色を示してきた近鉄側が移設協議に入ることで、平城宮敷地内の線路移設は実現に向け一歩踏み出した。

今後、県は大和西大寺駅の連続立体交差事業と公園補償を組み合わせた事業スキームをつくり、近鉄や奈良市と協議を続ける。具体的な費用負担や開業の時期は未定。

国土交通省は遮断時間が長い「開かずの踏切」などを改良すべき踏切道に指定し、改良対策を進めている。平城宮跡周辺にある4カ所も2017年に指定を受け、近鉄と県、市は20年度中に国から改良計画を提出することを求められていた。

平城宮跡は奈良時代の都、平城京の中心で敷地は約130ヘクタールに及ぶ。国は08年、国営平城宮跡歴史公園基本計画を策定。大極殿や朱雀門など復元された建物が並ぶが、近鉄奈良線は平城宮跡を東西に横断している。

県は平城宮跡の観光拠点化を進めていくうえで、線路が整備の妨げになる恐れがあるとして移設を近鉄に打診。17年に県、市と近鉄は連携協定を結び、移設について大和西大寺の立体交差化を含めて3者で計7回の協議を重ねてきた。

県の計画によると、大和西大寺駅周辺を立体交差にするために駅を高架化。同駅―近鉄奈良駅の線路を朱雀門の南に東西に走る大宮通りに移設する。平城宮跡南側は地上に線路を敷設するが、宮跡東側から地下化する。さらに県は近鉄側に朱雀大路駅(仮称)、新大宮駅、油阪駅(仮称)の3駅の新設を提案。今後、近鉄と協議を進めるとした。

会議終了後の記者会見で荒井正吾知事は「県案は出発点で決着点ではない。事業負担などスキームは決着したわけでない。設置駅や線路の設計は近鉄と別途、協議をしていく」と語った。

近鉄は(1)行政側が費用を全て負担する(2)運行時間など現在のサービス水準を維持する――の2点を協議に応じる前提条件としている。「現段階で決まっていることはない」(同社広報)とし、具体的な計画は今後の協議の場で議論するとしている。

線路移設のための用地買収や立ち退き交渉、その補償や線路移設の費用など、事業スキームは不透明なまま。具体的な費用負担や開業時期については知事は明言を避けた。実現には課題は山積している。(岡本憲明)

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