スゴ腕投資家座談会「二番底はあり得る、警戒は必要」
トッププロとスゴ腕個人投資家が真剣トーク(上)

日経マネー特集
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2020/7/20 2:00
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(写真:陶山勉)

(写真:陶山勉)

■大幅な上昇を狙うなら中小型株が基本

──銘柄の規模では中小型株を選好されていますが、どんなメリットを感じているのでしょうか。

坂本 中小型株は時価総額だけでなく会社の売り上げ、利益も小さいので、売り上げや利益が伸びれば、PERが大きく下がって割安になり、株価が上昇する可能性が高まります。実際に値動きも軽い。大きな値上がりを期待するなら、中小型株を選ぶのが基本だと思います。

値動きが軽いのは、中小型株を好んで買う個人投資家が多いからです。価格が上昇して時価総額がある程度大きくなると機関投資家も買い始めるので、そこで彼らに買ってもらう形で売却し、売買を終えることもできます。また、中小型株の場合、会社が複数の異なる事業を抱えているということはなく事業構造がシンプルなので、業績の分析が容易である点も魅力でしょう。

竹内 坂本さんの見方に1つ付け加えるなら、株価のブレが大きい点も中小型株のメリットでしょうか。適正な水準を大きく超えて上昇することがありますから、その分まで値上がり益を取ることが望めます。

苦瓜 繰り返しになりますが、中小型株はミスプライシングの度合いが大きくて、いろいろと腕を振るえる余地があることが大きなメリットです。それと株価指数を対象にした先物の売買など、大口投資家の売買の影響を受けて変に価格が動くことがない点も、中小型株のメリットでしょう。

■ショック後の上昇には踊らず

──足元の相場は、ニュースで乱高下して先を見通しにくくなっています。この全体相場の状況についてはどう受け止めていますか。

苦瓜 割安株投資が通じにくい相場で苦労しています。こういう相場は10年のうち2年くらいはあるものです。特にショックと名付けられる暴落の後に多い。

ただ、割安株投資が通じにくい今の相場は、コロナショックの後に始まったわけではありません。米国でトランプ政権が発足して、米中摩擦が取り沙汰されるようになったあたりから始まった。成長株と見なされているごく一部の銘柄に資金が集中して、そうした銘柄のPERが異常に高くなり、それ以外の銘柄のPERとの格差が広がって二極化しました。割安株投資が通じないので、今は我慢です。

──コロナショックの後には株式市場が急回復して、過去のリーマン・ショックや東日本大震災で起きた暴落の後とは異なる展開になりました。

苦瓜 暴落でダメージを受けて、その後の上昇局面にも付いていけませんでした。暴落のスピードも反発の速度もめちゃくちゃ速かったですから。急回復に乗れなかったのは残念ではありますが、その負けも中長期では取り返せます。

先に述べたように、私は世の中の7~8割はコロナ禍が始まる前の状態に戻ると思っています。世の中が落ち着いてくればおのずと勝てる。そういう形に、私の運用している投信は既になっていると考えています。

坂本 私は昨年の秋ぐらいから相場の状況に対して警鐘を鳴らしてきました。業績の下方修正が相次いだにもかかわらず、それを無視して買われてPERが異常に高くなっていたからです。ですから、私は債券や金、不動産など複数の異なる資産に分散投資しているのですが、その中で株式投資のウエートを落とし続けてきました。

コロナショックの後に相場は急回復しましたが、その中で際立った上昇を見せたのが、新興企業向け市場の東証マザーズに上場している中小型株です。まずコロナショックの前から我慢して持ち続けていたホルダーたちの投げ売りが出尽くして下げ止まり、自律的に反発した面があると思います。それとマザーズに上場している企業には、コロナ禍の影響を受けにくいところが多い。さらにワクチンの開発など、コロナ関連であることを材料にバイオベンチャーに過剰な期待が集まって、マザーズを押し上げたとみています。

この勢いが続くかどうかは分かりません。投資家の間で「もう限界」というマインドが広がれば、上値は重くなるでしょう。いずれにしても、これから手を出しにくい状況であるのは確かです。

竹内 コロナショックの暴落では、個別銘柄を空売りしてヘッジを掛けていたのですが、相場の戻りが速くて空売りの決済が遅れ、損失を出しました。リーマン・ショックの時の経験から「まだ下がる」と警戒していたのですが、回復のスピードは本当に速かったですね。

マザーズの急騰は初心者の参入も影響したのではないかとみています。昨年に老後資金2000万円問題がクローズアップされ、不安を抱いた個人投資家がコロナショックの暴落を機に株式投資に乗り出した。それが証券口座開設の急増につながりました。マザーズの急騰の背景にも、相場の反発で利益を上げた初心者の方たちがマザーズの銘柄に投資を広げたことがあるのではないでしょうか。

直近の相場では、IPO(新規株式公開)を果たした銘柄の初値が異常に高くなっているので、その反動で相場が急落しないかと懸念しています。でも、今の相場でも投資を続けないと資産を増やせないし、と言って全力で行くのも怖い。ですので、新規の買い付けは控えている状況です。

■二番底の可能性も視野に

──これから相場が急転して二番底に向かう可能性についてはどう考えていますか。

苦瓜 これまでの経験に照らすと、急激に上がったものは大抵反落しています。今回も恐らくその例に漏れないでしょう。他に平穏なところがありますから、急騰したところにはここからあえて出て行かなくてもいいと考えています。

竹内 現在の株価の水準と1株当たり純利益はかなり乖離していますので、いつかはそれが解消される時が来ます。ですが、その時期を予測するのは困難です。6月11日に米株式相場が急落して、ダウ工業株30種平均が1800ドル超下がりました。あの時に他の市場にも波及して、不安の連鎖が世界に広がるかもしれないと身構えました。意に反して持ち直しましたが、同様の相場の急落があったら、次はどうなるか。

景気の底割れを防ぐために、世界各国の政府と中央銀行が連携して金融政策と財政政策を総動員して、膨大な量の資金を市場に供給しています。それが、株式市場のバブルを生む一因になっていると思うのですが、これがいつまで続くかも気になります。とにかく今の相場は気味が悪いですね。

坂本 私は、米大統領選が行われる11月までは、ニュースに反応して乱高下を繰り返す相場が続くとみています。ただし上値が重い一方で下値も堅いので、大きく下げる可能性は少ないでしょう。ある程度下がると、「買い時」とみて買い向かう人がたくさんいますから。

それと大きく崩れた時には、東証1部に上場している全銘柄のPBR(株価純資産倍率)が1倍を切ったら、買い下がっていくといいと思います。リーマン・ショックや東日本大震災の時と同様にコロナショックの暴落でも、東証1部の全銘柄のPBRは0.8倍で下げ止まりました。そして1倍を超える水準に回復しています。1倍を切った時点で買い下がっていけば、反発によって値上がり益を得ることが見込めます。

(後編に続く)

(中野目純一)

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著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/7/21)
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