スゴ腕投資家座談会「二番底はあり得る、警戒は必要」
トッププロとスゴ腕個人投資家が真剣トーク(上)

日経マネー特集
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2020/7/20 2:00
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コロナショックから急回復した日本株市場。6月以降はニュースで乱高下する状態が続く。この相場にどう挑むべきか。国内屈指のファンドマネジャーである苦瓜達郎さん。「Bコミ」のハンドルネームでも知られる株式評論家の坂本慎太郎さん。株式投資で億単位の資産を築いた竹内弘樹さん。腕利きのプロと個人投資家の3人に緊急座談会をお願いした。前編ではそれぞれの投資の特色を浮き彫りにした後、足元の相場に対する感触を明かしてもらう。

苦瓜達郎(にがうり・たつろう)さん
三井住友DSアセットマネジメントのシニア・ファンドマネージャー。企業調査歴が28年に及ぶ国内屈指の中小型株ファンドマネジャー。著書『ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること 「すごい会社」の見つけ方』(幻冬舎新書)はベストセラーに。


坂本慎太郎(さかもと・しんたろう)さん
こころトレード研究所所長。「Bコミ」のハンドルネームで個人で投資を手掛ける傍ら、株式評論家として活躍する。証券会社ディーラーや大手生保ファンドマネジャーなどを経験。ラジオNIKKEI第1「カブりつき・マーケット情報局」(毎週金曜日)に出演中。著書多数。


竹内弘樹(たけうち・ひろき)さん
売上高が年5~10%、純利益が同10%以上で増加している「中程度の成長企業」の株を割安で購入し、億単位の資産を築く。初心者向けに株式投資の情報を提供するサイト「やさしい株のはじめ方」など複数のサイトを運営するライフパートナーズを起業して経営。著書多数。

──本題に入る前に、それぞれ手掛けていらっしゃる株式投資の特色を教えてください。

苦瓜達郎さん

苦瓜達郎さん

苦瓜 私は公募型の3本をはじめ、計9本の投資信託を運用しています。9本とも、時価総額の小さい中小型株に特化しています。企業の利益に照らして割安な銘柄を買うのが基本で、株価指標ではPER(株価収益率)をひたすら重視して銘柄を選んでいます。割安な株を頑張って持ち続ければいつかは上昇する。しかも上昇の幅は大きい。そういう信念を持って18年間、投信を運用してきました。

坂本 私は若い頃に証券会社のディーラーとして、株を短期売買していました。その後に中長期の運用を経験するためにかんぽ生命保険に転職し、債券と株の投信を運用しました。

それで短期と中長期の両方の運用スキルが身に付いたと考えて35歳で退職し、専業投資家に転身しました。そのうちに投資情報誌やラジオなど様々なメディアから声が掛かり、株式投資の評論を手掛けるようになりました。それ以降は、個人投資家と株式評論家の二足のわらじを履いています。

株式投資の方では、時間がある時は株の売り手と買い手の注文が並んだ「板」の状況を読んで売買する短期投資もしますが、基本は中長期投資です。小型株で業績予想に対する実績の進捗率が高く、投資家の買いが集まりそうな銘柄を先回りして買うのがメインですね。その他、特許などの無形固定資産の価値が高い銘柄を割安になった時に買って値上がりを待つという投資もします。

竹内 私は「やさしい株のはじめ方」という投資情報のサイトを2005年から運営しています。サイトを運営しながら自分でも株式投資を学んでいく。そういうスタンスで株に取り組んできました。

自身の投資手法については「成長バリュー(割安)株投資」と銘打って、10~20%の割合で利益を増やしている成長企業の株を割安に買うことを信条にしています。利益の伸びの目安で20%を上限にしているのは、それを超えると成長が長続きしない可能性が高くなるからです。

苦瓜 私の場合は、グロース株投資と言えるほどには業績の伸びを重視していません。もちろん業績が拡大しているのに越したことはありませんが、業績の伸びよりも足元のPERとその企業の価値に見合ったPERの適正値との乖離(かいり)の大きさを重視しています。

坂本慎太郎さん

坂本慎太郎さん

坂本 私もグロース株投資は手掛けていません。成長企業の株は大体、2~3年先の業績を織り込んでPERが付いています。業績の拡大が期待できなくなると、それを織り込んで株価が下落し、PERも下がります。

足元の業績は好調であっても、将来に対する期待がしぼむと株価が急落し、それまで100倍だったPERが一気に3分の1の水準に下がったりします。個人投資家の中には、成長企業の株を買ってテンバガー(10倍株)を狙うという考えの人がたくさんいます。ですが、そうした人たちは、成長の期待がはげ落ちて株価が急落すると、その直撃を受けて大きな損を被ることが多くあります。

株式市場が全体的に上昇したアベノミクス相場や小泉相場(2003~06年)の初期のように、成長企業の株も割安に放置されている時なら話は別ですが、そうした時以外にはグロース株投資は手掛けない方がいいと考えています。

■割安を追求する点は共通

──割安な株を売買しているという点では、3人とも共通されています。割安かどうかはどう判定されているのでしょう。

苦瓜 株の価値の源泉は企業が稼ぎ出す利益ですから、PERで判定するのが王道だと思います。ただし、現時点ではコロナショックで今後の業績についての見通しが立たなくなっている企業が多いので、株価を1株当たり当期純利益の予想値で割って算出する「予想PER」で割安かどうかを判定することは困難になっています。

一方で、世の中の7~8割はコロナショックが起きる前の状態に戻ると考えていますので、コロナショックの前に上げていた利益を基に、企業ごとのリスクも考慮して独自に将来の業績を推定し、足元の株価が割安かどうかを判定しています。

坂本 個人投資家でも中上級者の中には独自に業績を推定できる人もいますが、多くの個人投資家はそうではなく、会社や日本経済新聞などの予想を利用しています。それらの予想が開示されなくなり、多くの個人投資家にとって今の株式市場は「闇鍋」をつつくような状態になっています。個人投資家が今、株を売買するのは難しいでしょう。

竹内 私もお二人と同じような見方をしています。普段はまずPERの水準で振るいを掛けて、割安な銘柄とそうでない銘柄とに分けてから、個々の銘柄を詳しく見ていきます。今は2~3年先に業績がどうなるかをざっくりと算出しようとしています。ぴたりと的中させるのは無理なので、「この会社の業績は2~3年後にこれくらいに回復しているだろう」と見積もり、それに対して割安かどうかを考えるようにしています。

──そもそも、株価が割安かどうかにこだわっているのはなぜですか。

苦瓜 一つは経験でしょうか。バブル崩壊のまっただ中の1991年に株の世界に足を踏み入れて以来、リーマン・ショックをはじめ相場の暴落をいくつか経験し、その度に利益を安定して出し続ける会社が勝ち残る姿を目の当たりにしてきました。

嵐が去った後に、愚直に割安かどうかにこだわって銘柄を選んでいけば、下から風が吹いて押し上げられるように自然に上がっていくのを何回も経験しています。ですから、宗旨変えはせず、割安かどうかにこだわり続けていきます。

竹内弘樹さん

竹内弘樹さん

竹内 私の場合は、割安な株を買うと価格が下がりにくいからです。先ほど坂本さんがおっしゃっていたように、PERで見て割高な株は、将来の業績に対する懸念が急浮上すると、売りが殺到して株価が急落する恐れがありますから。

PERが40倍や50倍と割高になっていても、成長性の高そうな企業の株はキラキラと輝いて見えるものです。ですが、そうした銘柄には目を向けず、「そこそこの成長で割安な株」という自分の得意なゾーンで有望株を探すようにしています。

坂本 私が割安株投資を好んでいるのは、投資の幅が広いからです。割安かどうかを重視して銘柄を選ぶのであれば、割高な成長株が全体相場の調整に連れ安した時に買うこともできますし、今ならコロナ禍の影響で落ち込んだ業績が1~2年後にある程度回復しそうな銘柄を先回りして割安に仕込むこともできます。このようにいろいろなパターンの投資を実行できます。

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