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エチオピア、ナイル川ダムに貯水 下流のエジプト反発

エチオピアは15日、ナイル川上流の巨大ダムで貯水が始まったと表明した。水不足を恐れる下流のエジプトとスーダンがかねて反発し、3カ国の新たな協議が決裂したばかりだった。米国の仲介も不発に終わっており、水資源争いが地域を不安定にする懸念がある。

「貯水はダムの自然な建設プロセスに則してなされている」。エチオピアのシレシ水・灌漑(かんがい)・エネルギー相は15日にこう述べ「自然の水たまり」と表現した。ダム周辺は豪雨に見舞われ、貯水池の水位が上がる一方、放流のゲートを閉じているかは明らかにしていない。

スーダン政府は下流で水位が低下していると表明した。エジプトのシュクリ外相は6月「エジプト人1億人以上の唯一の暮らしの源を侵害する脅威だ」と貯水をけん制していた。両国との対話の道を残すため、エチオピアは意図した貯水とは明言しない可能性がある。

問題になっているのは、エチオピアが2011年から青ナイル川で建設中の「大エチオピア・ルネサンスダム」だ。総工費は約48億ドル(約5100億円)、水力発電の能力は6450メガワットとアフリカ最大になる。

エチオピアは経済成長で膨らむ電力需要を賄うのが急務だ。世界銀行によると、同国の国内総生産(GDP)は19年までの10年間で3倍になったが、なお人口1億人強の過半が電気のない環境で暮らしている。

ダム建設は多くの国民が小口の債券を買い支援してきた。多民族国家のエチオピアで「すべての人が賛同できる数少ない事業で、アビー首相は妥協していると見られたくない」と米中東研究所のミレッテ・マブルーク・シニアフェローはみる。

水の9割をナイル川に頼るエジプトは、上流で水がせき止められることへの恐怖感が強い。水利権を主張する背景には歴史的経緯もある。1929年、英国から歴史的な権利を認められ、59年にはエジプトとスーダンがナイル川の水を分け合うと合意している。

争いは国連安全保障理事会に持ち込まれ、米国も仲介に乗り出したが、当事国の合意には至らなかった。調整不発はトランプ政権の影響力の限界を映す。

ナイル川の問題は、アフリカ域内の利害調整機能の弱さをも示す。シュクリ氏は6月に「一方的な貯水」が「緊張を高め地域を一層不安定にする」と警告した。これは10年越しの懸念だったにもかかわらず、当事国の溝は残ったままだ。アフリカ連合(AU)など地域協力の枠組みも解決策を見いだせていない。

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のアハメド・ソリマン・リサーチフェローは「ナイル川の水問題は地域にとって極めて重要で国際協力の好機にもなる」とし、3カ国の対話継続の姿勢に期待を示す。欧州のライン川や東南アジアのメコン川には調整のための国際委員会がある。

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