ツイッター、言論基盤に傷 著名人アカウント乗っ取り

2020/7/16 15:40
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米ツイッターのドーシーCEOの経営手腕を疑問視する声もある=AP

米ツイッターのドーシーCEOの経営手腕を疑問視する声もある=AP

米ツイッターのSNS(交流サイト)上で15日、バイデン前米副大統領ら米著名人のアカウントが一斉に乗っ取られる被害が起きた。同社は何者かが従業員の社内システムへのアクセス権を盗み出し、不正アクセスしたのが原因としている。11月の米大統領選を控え、言論基盤としての信頼性に大きな傷を負うかたちとなった。

著名人らのアカウントの乗っ取りは現地時間の15日昼ごろに始まった。最初に注目を集めたのは3600万人超のフォロワーを抱える米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のアカウントだ。暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」を送金すれば「2倍にして返す」という内容のツイートが繰り返し投稿され、ツイッター上でマスク氏が乗っ取りの被害にあったのではないかとの見方が広がった。

その後、バイデン氏やオバマ前米大統領、米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏、米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOらのアカウントも一時、同様の被害を受けたことが判明した。アップルやウーバーテクノロジーズなど米主要企業の公式アカウントも標的になった。

ツイッターは声明で、人間の心理的な隙やミスにつけ込んで情報を盗み出す「ソーシャルエンジニアリング」と呼ぶ手法により、社内システムなどへのアクセス権を持つ一部の従業員が標的になったことを明らかにした。何者かが従業員から盗んだアクセス権を使ってアカウントを乗っ取り、著名人になりすましてツイートしたという。

ツイッターは問題の把握後、直ちに乗っ取られたアカウントを凍結し、投稿されたツイートを削除したという。同社は被害の拡大を防ぐため、「認証バッジ付き」と呼ぶ著名人らのアカウントについて投稿などの機能を一時制限したが、15日夕までにほぼ復旧した。

今回ビットコインの送金を呼びかける投稿が相次いだ。送金先に指定されたビットコインのアドレスが同じだったため、同一のハッカーによる詐欺行為とみられる。米メディアの報道によると、該当するアドレスには15日夕までに10万ドル(約1070万円)相当が送金されたようだ。

情報セキュリティーに詳しいトレンドマイクロの岡本勝之氏によると、ビットコインを使い送金を促す手口は過去にも使われているという。「暗号資産は匿名性が高く、悪用されるケースが続いている」という。

米国ではトランプ米大統領もツイッターを情報発信で積極的に利用しており、同社のSNSは言論活動の基盤にもなっている。11月に大統領選に向け、今回の乗っ取りの手口が政治的なメッセージの発信などで悪用される可能性もある。

事態を重くみた共和党のホーリー上院議員は同日、ツイッターのジャック・ドーシーCEOに米司法省の捜査などに協力するよう求める書簡を送った。ホーリー氏は今回の問題について「すべての利用者のプライバシーとデータセキュリティーへの脅威を示すものだ」と述べ、同社の技術力に強い懸念を表明した。

ツイッターは世界で1億6600万人が日々利用している。17億人を超えるフェイスブックに比べ業績は振るわず株価も出遅れている。3月には米著名アクティビスト(物言う株主)のエリオット・マネジメントがドーシーCEOの解任を一時求めるなど、近年は株式市場の圧力にもさらされていた。

業績への打撃が懸念され、15日の米国市場の時間外取引でツイッター株は一時4%下落した。ドーシー氏は15日夕、「我々にとって厳しい日だ」と自らのアカウントに投稿した。今回の危機管理対応で投資家の失望を招くようなら、解任への圧力が再び強まるおそれもある。

(シリコンバレー=白石武志、島津忠承)

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